禁煙成功への第一歩。禁煙外来は「早い」「安い」「確実」3拍子そろった禁煙法

何度も禁煙にチャレンジしたけれど、どうしてもやめられなかった人。タバコをやめようと思っても、一歩が踏み出せない人。それはあなたの意志の弱さではなく、病気だから。自分の今の状態を認めて病院に行きましょう。禁煙外来なら3割の自己負担で治療が受けられる「早い」「安い」「確実」の3拍子がそろった禁煙成功への選択肢です。

禁煙は意志の力だけでは限界がある

タバコの依存度は個人差がります。ベビースモーカーだったのに、意外とスンナリやめてしまえた人もいれば、いつまでもズルズルとやめられない人、苦しくて何度も挫折してしまった人など、禁煙にはさまざまな経過をたどるので、一概に禁煙への道が「こうだ!」とはいいきれません。

ニコチンはアルコールと同じように、その代謝酵素が豊富な人と、そうでない人がいます。その酵素の量によって生まれつきタバコで快感を得やすい人とそうでない人がいることが分かってきました。

禁煙を試みたけれど失敗してしまった人は「意志薄弱児」などと周囲からレッテルを貼られてしまうことを心配している人もいるのではないでしょうか。しかしタバコがやめられないのは決して意志の力とは関係ありません。

ニコチン離脱の症状が強い素質を持った人にとっては、禁煙は決して楽なことではありません。すんなり禁煙できた人が決して意志が強いというわけではないのです。しかし、そういう人こそ禁煙外来でのニコチン代替え療法が成功することが多いのです。

禁煙を成功するためにはニコチンの実態を知ろう

自分の意志を信じますか?

「タバコをやめるために病院に行くなんてナンセンス。」「そんなことをしなくてもいつでもやめられる」「病院に行く時間もお金もないよ(でもタバコを買うお金はある)」これらが、愛煙家の常套句です。しかし現実にやめられないのがタバコの怖いところ。

何度も自己流で禁煙に失敗した人は、禁煙外来を利用しましょう。禁煙できないのは、決してあなたの意志の力が弱いわけではありません。「依存症」という病気なのですから、風邪と同じように病院で治療をしてもらえばいいだけです。

ヘロインやコカインよりも依存度が高いニコチン

誰もがタバコは体に悪いということをよく理解しているはず。これからどんどんタバコの値段が上がっていくのが分かっているのに、やめられない。それはいったい何なのかというと、タバコに含まれるニコチンへの薬物依存の状態になっているからです。

この状態はれっきとした「依存症」という病気にかかっています。タバコに含まれるニコチンは。麻薬として取り締まられているヘロインやコカインよりも依存性が強く、耐性についてもコカインよりも強く、ヘロインとほぼ同じ程度だといわれ、数本数もだんだんと増えていきます。

ニコチン依存のメカニズム

タバコを吸う人がよく言う言葉が「吸わないとイライラして落ち着かなくなる。吸うとリラックスできる」ですが、実はこれはタバコにだまされている状態です。

タバコを吸わない人は、脳内に「アセチルコリン」という物質がたくさんあります。このアセチルコリンが受容体にくっつくことで、ドーパミンという物質を分泌させ、これがやる気を起こさせたり、リラックスさせたりする効果を発揮します。

タバコのニコチンは、このアセチルコリンと非常に性質が似ていて、脳の中で記憶や学習の機能をつかさどる海馬というところに、アセチルコリンのダミーとして入り込んでしまいます。

すると脳はアセチルコリンを作らなくてもいいと錯覚してしまうのです。つまりタバコを吸っている人は脳内にアセチルコリンがなくなってしまったため、ドーパミンが分泌されず、緊張状態がずっと続くことになります。

緊張状態が続くと、イライラしてきます。そんなときにタバコを吸うとニコチンがアセチルコリンの代わりに受容体にくっついてドーパミンを分泌してくれるので、リラックスできるという仕組みです。

これは「タバコを吸うことでアセチルコリンが作れない→イライラする→タバコを吸う→アセチルコリンが作れない」という悪循環に陥ってしまった状態です。

タバコをやめたら、ニコチンが入ってこなくなるため脳内にアセチルコリンが分泌されるようになります。最初は少しで、そのため禁煙の苦しい状態が続きます。しかし徐々に多くなってくるとタバコを吸わなくてもつらくならなくなり、初めて禁煙が成功したといえるようになります。

あなたのニコチン依存度は?

「タバコならいつでもやめられるよ」そう思っている人ほどニコチン依存度が高いといわれています。禁煙に成功するためには、ニコチンへの身体的依存に加えて、習慣による心理的依存にも打ち克つ必要があります。

目覚めたあと、食事のあと、仕事の一区切り、何となく暇を持て余したとき、口淋しいとき、お酒を飲んでいるときなど、タバコを吸うことが根強い習慣になっているという人も多いはず。

ニコチン中毒になっているかいないかの判断で最も簡単なのは、朝起きて何分後に最初に1本を吸うかです。目が覚めて15分以内に吸うという人は明らかに依存症だといえます。

さらに、朝起きて最初にやることが、顔を洗うことやコーヒーを飲むこと、歯を磨くことではなく「タバコを吸うこと」だとしたら、依存症である可能性が非常に高いといえます。

そうだ!禁煙外来に行こう

依存症は病気です。禁煙の第一歩は自分が病気だということを自覚することから始まります。病気なのですからお医者さんに行くのは当然です。

3割の自己負担で禁煙治療が受けられる

禁煙を決意しても、自分の意志でやめられないという人は多く、決してあなただけが意志が弱いというわけではありません。実際喫煙者の半分以上が禁煙に失敗していて、禁煙の成功率はわずか5~10%ともいわれています。

禁煙外来で医師と一緒に禁煙すれば、自分に合ったアドバイスが受けられ、禁煙の治療薬を処方してもらえるので、禁煙の成功率が高まります。

2006年から健康保険などを使って禁煙治療が受けられるようになったため、3割の自己負担で済むようになりました。具体的な金額は処方される薬にもよりますが、治療費は約3か月で1万5千円程度です。タバコを1日1箱吸うとして、約1か月分くらいの金額に相当します。

ただし保険適用のためには下記のような条件があり、これらを満たしている必要があります。

①1か月以内に禁煙治療を始めたいと思っている
②ニコチン依存度診断テストで5点以上
③1日の喫煙本数×喫煙年数=200以上
④禁煙治療を受けることを文章で同意している

【ニコチン依存度チェック】禁煙NOTE:横浜市健康福祉局

横浜市 健康福祉局。高齢者福祉、障害福祉、保険、年金、医療、感染症、難病、安全、環境、ペット、衛生、保健所、衛生研究所など横浜市民の皆様の生活に関する情報を掲載。

禁煙外来の手順

では、実際に禁煙外来を訪れた時の治療手順をご紹介しましょう。

①問診票に記入します。この中には喫煙開始時期や現在の喫煙本数、基礎疾患、身長・体重などがあります。またニコチン依存度チェックや、依存のタイプを判定する設問がいくつか含まれています。

記入には10分ほどかかりますが、この問診票によって自分がどのような姿勢で禁煙に取り組もうとしているのか、その決意を改めて整理するのに役立ちます。

②次にスモーカライザーという機械で、吐く息に含まれる一酸化炭素を測る検査を行います。タバコの煙には、この一酸化炭素がたっぷりと含まれています。

タバコを吸わない人は一酸化炭素の量は5ppm以下ですが、タバコを吸う人は10ppm以上、ヘビースモーカーになると50ppmという人もいます。

一酸化炭素は酸欠を起こす有害ガスです。酸素を運搬する赤血球の中のヘモグロビンを一酸化炭素が占領してしまいます。そのため喫煙の害を具体的な数値で示すことができます。

初診以降、このスモーカライザーによる検査は毎回行われます。この機械にかかれば「タバコは1本もすっていません」という嘘は通りません。数値としてあらわれます。

逆に禁煙の成否を客観的に評価することもできるので、数値が下がってくれば禁煙を開始した人のモチベーションは上がり、もうちょっと頑張ろうという気持ちにしてくれます。

この検査は煙を肺の奥までしっかり吸い込んでいると数値が高くなります。また、直前の喫煙から、検査までの時間が短いほど高くなります。

③病院によってはニコチェックという検査をするところもあります。これは尿の中のニコチン代謝物を検査するもので、その人のニコチン摂取量が推測できます。

喫煙本数やタバコの銘柄だけではその人のニコチン摂取量を正確に推測することはできません。タバコ1本につき、2~3回しか吸わない人や、煙を深く吸わない人はニコチンの摂取量は当然少なくなります。

一方、ニコチンの量が少ないタバコでも根元までしっかり吸う人や、煙を肺の奥まで入れる人はニコチン摂取量は多くなります。

ニコチェックは、その人の喫煙状況を客観的に把握すると同時に、これからの治療おいてどれくらいのニコチン製剤を必要とするかの目安にもなります。

④問診と呼気中の一酸化炭素の濃度、ニコチェックの数値を元にして、カウンセリングが行われます。

患者のニコチン依存度の度合いを数値だけでなく、心理面でもカウンセリングして、数あるニコチン代替え療法の中でどれが一番適しているのかを決定していきます。

最後に禁煙開始日を決めます。「今すぐ!」という人も多いのですが、禁煙しやすいタイミングというのもあるので慎重に決めましょう。

たとえば、忘年会や新年会などの宴会シーズンにぶつかってしまった場合、せっかく禁煙しているのに誘惑が多すぎます。そんな時はあえて、その時期が終わってから始めるようにするといいでしょう。

禁煙を成功させるための3つの治療方法

禁煙が成功するかどうかは、つらい離脱症状をどうやって乗り越えるかにかかっています。離脱症状とは、「たばこが吸いたくて、そればかり考えてしまう」「イライラして、落ち着かない」「頭痛がする」「すぐに眠たくなる」など、いわゆる禁断症状のことをいいます。

この離脱症状は一般的に禁煙を始めてから2~3日がピークとなり、2~3週間続くことになります。このピークをうまく乗り蹴れることができれば、禁煙成功率はグンとアップします。

つらい離脱症状を緩和しながら禁煙を成功に導くために「ニコチン置換療法」があります。タバコの代わりにパッチやガムなどでニコチンを補給しながら禁煙する方法です。

ニコパッチ

ニコパッチは、タバコの代わりに皮膚にパッチからニコチンを少しずつ補充することによって、禁煙時におこる離脱症状を一時的に緩和するものです。1日1回、体のどこかに1枚貼るだけなので、とにかく簡単で、目立たないので周囲に気づかれずに禁煙できます。

禁煙の時期に応じてサイズがだんだん小さくなっていき、ニコチンの補充も少なくなっていきます。禁煙外来などで治療に使用するニコパッチは、大・中・小とあります。

禁煙開始から最初の4週間は大を貼り、次の2週間は中を、そして最後の2週間を小で過ごして合計8週間で禁煙治療は終了となります。

ニコチンガム

ニコチンパッチと同じく「ニコチン置換療法」としてニコチンガムがあります。これはわざわざ禁煙外来に行かなくても、薬局などで購入できてお手軽です。

ガムには少量のニコチンが含まれており、タバコを吸いたくなったらこれをゆっくりかむことで、離脱症状の苦しさを抑えることができるというものです。

禁煙初日はだいたい4~12個くらいからスタートします。慣れてきたらだんだん個数を減らしていって、だいたい3か月くらいかけて禁煙するのが目安になっています。

このニコチンガムは普通のガムと違って噛み方にコツがあります。口に入れてから10~15噛んでピリッとした味を感じたら、ほほの内側と歯茎の間にガムを置いて、味がなくなるまで約1分間以上そのままにしておきます、そうすることでガムに含まれるニコチンを少しずつ体内に吸収させます。

味がなくなったらまた10~15回ほど噛んで同じようにしばらく置いて吸収させるという作業をガム1個につき1時間ほど繰り返します。普通のガムのようにガシガシ噛んでしまうと、ニコチンが一気に出てしまい気分が悪くなることもあるので注意しましょう。

チャンピックス

チャンピックスは飲むタイプの禁煙治療薬で、医師の処方箋が必要になります。この薬はニコパッチやニコチンガムと違って、ニコチンを含みません。

チャンピックスの最大の特徴は、イライラなどの離脱症状をさえるほか、タバコをおいしいと感じにくくする作用があることです。

もうひとつチャンピックスの特徴として、最初の1週間は、タバコを吸いながら服用していいという点です。ヘビースモーカーにとっていきなりタバコを一切やめなさいといわれるのは非常につらいことです。しかし禁煙薬を飲みながら1週間はタバコが吸えるとなったら精神的にも余裕が生まれるのではないでしょうか。

その猶予期間中に、だんだんタバコがおいしく感じられなくなるとしたら、無理なく禁煙期間に移行できそうです。ただし、副作用として「ご飯がまずくなった」という人が多く、この点が一番つらいようです。

このチャンピックスの禁煙成功率は6割以上で、ニコパッチやニコチンガムよりも高いという報告もあり、ヘビースモーカーの人や一度ニコパッチで禁煙を試みるも失敗してしまったという人におススメです。

まとめ

タバコは健康に対して百害あって一利なし。さらにタバコの相次ぐ値上げや喫煙スペースの減少など愛煙家にとっては肩身の狭い状況がこれからもどんどん広がってくるでしょう。

そんな状況下「タバコをやめようかな」と考えている人も多いはず。スンナリやめられる人はいいですが、何度も禁煙に挫折している人は、禁煙外来に行ったほうが「早い」「安い」「確実」です。禁煙を成功に導くためには、まず禁煙外来の扉をたたいてみましょう。