ストレスで痩せることの裏に潜んでいる重大な病気

生きている限り、私たちはストレスに苛まされることになります。逃げようとしても逃げることはできません。それが心の病として食欲にも出てきます。多くの若い女性が痩せるためにダイエットを始めるのですが、痩せることにこだわりすぎるが故に、そのうちに摂食障害を発症します。しかしながら、実はその裏には重大な病気が潜んでいるのです。

痩せることとストレスの関係

痩せる原因、あるいは体重が減る原因にはどんなことが考えられるでしょうか。例えば、毎食の食料を減らすとか、食事回数を減らすとか、さもなければ、エネルギーの消費量を上げるとかいくつか挙げることが出来ます。

自分の意志で痩せようとするダイエット以外にも、見た目でやせたなあと思える体重減少には、実は、病的疾患が理由の場合があります。一方で、徐々に時間をかけて体重が減って行く場合がありますが、そういう痩せ方は意外と見過ごされることがあります。

その場合、何が原因でそうなったのか、思い浮かばないことが多いのですが、強いて言えば、精神的な理由、つまり、ストレスを挙げることが出来ます。そこで、痩せることとストレスとの間には、どんな関係があるのかを見て行くことにいたしましょう。

そもそもストレスって、何?

普段からストレス、ストレスと言って話題になっているストレスって、そもそも何なのでしょうか。私たちの脳の中心に間脳というところがあります。ここは喜怒哀楽、つまり、嬉しいとか、楽しいとか、哀しいとか、怒りなどの感情と結びついた中枢で、ここに多くの刺激が、例えば、寒さ、疲労、恋の悩み、夫婦喧嘩、金銭の問題など身体の内外からのどんな刺激であろうと、それは間脳に通じます。

特に、歓迎できないような刺激が長く続くと、間脳から脳下垂体、副腎皮質へと伝わり、ホルモン系への反応に繋がっています。そして、このホルモン系のバランスが崩れると病気に関係すると見られています。

もともとストレスは、物理学や冶金工学で使われていた言葉で、金属に圧力を加えた場合、その圧力に対して抵抗する反応が起きます。この状態をストレスと言っています。この考え方を医学分野に持ち込んだのが、カナダのハンス・セリエです。

このストレスですが、厳密に言うと3つの意味があるそうです。一つはストレス刺激です。これはストレスを作る因のことで、ストレッサ―のことです。もう一つは、ストレス反応です。これは、状態が変化することを示しています。そして残りの一つは、ストレス損傷です。これはストレスを受けたことで、身体に生物学的変化が起こることを言っています。

このように、ストレスと言っても3つの意味合いがあり、私たちがストレスを避けるとか、逃げるとか言っているのは、この中の最初のストレス刺激のことを言っているようです。そして、ストレスを起こしたと言っている場合は、二番目のストレス反応のことを言っています。

さらに、ストレスにやられたという場合のストレスは、最後のストレス損傷のことで、私たちの身体に生物学的変化をもたらすのです。

このことを背景にして、私たちが日常的にストレスといって、緊張や不安、人間関係の軋轢、イライラ感、環境の変化、寒冷、火傷などを挙げていますが、これらは正確に言うと、3つの中のストレス刺激、ストレッサ―のことを言っているようです。

ストレスと自律神経の関係

次に、ストレスと痩せることに自律神経が大きく関わっていることから、ストレスと自律神経の関係を見て行くことにします。

その自律神経(交感神経と副交感神経の二つ)から、私たちの体質は、二つの型に分類されることが分かります。一つは、交感神経が副交感神経よりも興奮の度合いが高い型と、逆に副交感神経が交感神経よりも興奮の度合いが高い型です。

そして、この二種類を敢えて言うと、前者は交感神経緊張型(高血圧型)、後者を副交感神経緊張型(低血圧型)と位置づけが出来ます。さらに言えば、前者はアクセル型で、後者はブレーキ型とも言うことが出来ます。

今度は二つのタイプの特徴を挙げてみます。前者の交感神経緊張型の人たちに見られる特徴は、血圧と体温が高く、血管の発作があり、脈が速いなどがあり、ストレスに出会いそれを克服できない場合は、脳卒中や心筋梗塞などの循環器系の疾患を起こしやすいとされています。

副交感神経緊張型では、血圧と体温は低めで、胃液は分泌過剰、胃痙攣や腸の蠕動異常による下痢を起こしやすく、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、気管支喘息、胆嚢炎、膵臓の炎症や虫垂炎などの消化器系の疾患を起こしやすいとされています。

このように、私たちはストレス刺激を受けると、ある人たちは交感神経緊張型のパターンで反応し、またある人たちは副交感神経緊張型のパターンで反応します。しかしながら、ストレス反応は生命が脅かされるような状況下では当然のことで、本能的な反応とも言えます。

例えば、鼓動が高まり必要な組織に血液が異常な速さで供給される。心拍は増加し、血圧も上昇する。呼吸は浅く、速くなる。血中にアドレナリンが放出される。肝臓から蓄積されていた糖分が放出される。消化器への血行は著しく低下する。脳や主だった筋肉への血行が増大する。

手足などの末端部への血流が減り冷たくなる。瞳孔が拡大し、光をとりいれようとするなど、緊張や不安、スリルを味わうような経験をすると、このような生理的な変化が起き、ストレス反応を示します。
このストレスに自律神経が大きく関わっているのです。

ストレスと日常性

多くの人誰もが、日常的にストレスを感じています。逃げることはできません。となれば、ストレスと上手に付き合うことが大事になります。そのためには、自分がどんなストレス状況にあるかを知ることが大切になります。

例えば、眠れない夜が続いているとか、イライラ感が募っているとかは、ストレスのサインとして考えられます。中には、問題が解決されると解消するものもありますが、そうでない場合、一部は先述したストレス性の疾患の原因になることが考えられます。

それでは、サインとして、どんなものがあるのかを見て行きます。その兆候は心や身体、行動などの多くの場面で見られます。

例を心挙げますと、心については悲しみや憂鬱感、不安感やイライラ感、当然緊張感も入ります。それから、何をやろうとしても、やる気が出ないとか、無力感に襲われるようなことが起きてきます。これらは、心からのサインです。

身体面では、食欲不振、痩せてくる。寝つきや目覚め悪くなる。動悸がしたり、血圧があがったり、手足に汗をかいたりします。これは、身体面からのサインです。

日常的な行動の面では、何をするにも億劫になったり、人付き合いが悪くなったりします。さらに、飲酒や喫煙量も増えるし、身だしなみに気を遣わなくなったり、落ち着きがなくなったりします。

次いで、生活の場面や職場での出来事やストレスが原因で心や身体に影響を及ぼすことが、やはり日常的に見られます。これらも、長引いたり、複数の要因が重なったりする場合があります、それでは、どんなものがあるか、挙げてみることにいたします。

生活の場面では、まずは家族のことが問題になります。配偶者の死、病気や怪我、天災とか人災の被災体験。子供将来についての進学や就職、夫婦間の不和や嫁、姑などの人間関係。経済面では、ローンや借金、生活の見通しの暗さなど金銭的な問題や経済状態の変化。引っ越しや騒音、新たな人間関係の構築など、住環境の変化などが考えられます。

その他にも、離婚や配偶者との別居、親しい親族の死、中絶や流産などがストレスの元凶になっています。

職場関連では、解雇や仕事上でのミスや失敗が重なり、責任問題になった。仕事の中身が質的にも量的にもかなり負担に感じたり、勤務時間、特に残業時間が増えたりして余裕がなくなった。いろいろな場面で、上司や同僚、部下とぶつかりトラブルが起き、人間関係にひずみが生じている。待遇面で昇進、配置転換、その他に不満を感じている仕事上の再適応、転職など、こういうことに類したものが考えらます。

これまで指摘してきたことと、あなたの心身との関係を考えたことがありましたでしょうか。そして、それが症状に繋がり、ひいては健康にも影響を及ぼすことに気付いていましたでしょうか。
これから先は、そのストレスとそれに対する反応、痩せることとの関係についた進めることにいたします。

ストレスが原因の痩せ症

先述したように、自律神経には交感神経と副交感神経があり、ぞれぞれ私たちの体のアクセルとブレーキの役割をしています。日中はアクティブに動くためにアクセルを踏んで、夜になると睡眠をとるためにブレーキを踏んでいるのです。そして、ブレーキを踏んでいる時、すなわち副交感神経が優位な時にたべたものの消化や吸収がおこなわれるのです。

ところが、ストレス状態が続くと交感神経が優位に、すなわちアクセルを踏みっぱなしの状態になってしまい、食物の消化や吸収が上手に行われないこととなってしまいます。それによって痩せやすくなってしまうという訳です。ただ、この場合の痩せはどちらかというと「やつれ」と言った方が良いようなものですが。

このように、痩せ症のほとんどはストレス反応で起こります。つまりストレスが身体反応として、心を含めて消化器系に影響を及ぼすと考えられます。具体的には、神経性食欲不振症(摂食障害、神経性無食欲症、神経性食思不振症、思春期痩せ症、アノレクシア・ネルヴォ―ザ)の疾患が挙げられます。

ストレスで痩せる仕組み

それでは、ストレスで痩せるのはどういう仕組みでそうなるのかを次に見て行くことにいたします。ストレスを感じ、それが溜まり始めると、消化器系器官が不調になります。結果的にものが食べられないという症状に襲われます。

本当はもっと太りたいと思っているのに、結果は逆で太れないのです。理由は食欲の減退が身体にエネルギーが溜まることを阻害し、それが痩せることに繋がってしまいます。そして、そのことが循環することで、ますます抜け出すことが出来なくなるのです。

ストレスはこのように悪循環を生み出し、余計にイライラ感や緊張感、不安感が募ると交感神経が優位に立ち胃の動きを抑制する方向で働いてしまいます。それが消化に大事な胃液の分泌を抑えるので、必然的に食欲が減退するのです。

食べたいと思っても食べられないのですから、痩せるのは当然ということになります。本来は消化器系には副交感神経が優位に立ち、食欲にも影響を及ぼすようになっています。しかしながら、ストレス状態で緊張が続くと、先程来の食欲が抑制されることになります。

この状態が続くと胃の働きは抑制されるし、消化吸収の働きも思うようには行かないので、量の確保が難しくなり、太るどころか痩せて行くことになってしまいます。

ストレス性の病気

神経性食欲不振症

私たちは飽食の時代にいます。食べ物には困りません。しかしながら、過食に伴う肥満が健康に害(糖尿病、高血圧、心臓病、高脂血症など)を与えることを知ると、ダイエットや筋トレなどの運動療法をとりいれる人がいる一方で、それとは関係なく細い身体を目指して痩せたいとか、スリムな体型をものにしたいと、若い女性の挑戦が増えています。それと比例するように、世の中に摂食障害の患者さんの数が増え続けているのです。

そこで、神経性食欲不振症なのですが、これは、前にも少し触れましたが、とにかく痩せることに神経を集中し、脂肪を敵として、食欲があるにもかかわらず、食べる量を減らし、食べること事態を避けるようになることです。

特徴的なのは、神経性食欲不振症の患者のほとんどが若い女性であることです。他の人から見ればスリムで痩せているのも関わらず、当の本人はそれを認めようとはしないで、太ることに対して、かなり強い抵抗感や恐怖心があるので、これ以上痩せては危険と指摘されても、本人はそのことを認めようとはしないのです。

痩せることに価値観を抱いているので、独自の評価基準を達成することで満足感を得るようで、鏡を見ては、そのことを確認する態度をとって喜びに浸っているのです。しかしながら、これが進むと、生理不順や無月経になり、下剤を使ったり、食べ物を吐いたりする行為に走る人がでてきます。

それにもかかわらず、割と元気で活発なところもあります。それに空腹感は否定しながらも、食べ物のことを考えていることもあるのです。それに不思議なのですが、意外と料理をすることが好きで、人のために一生懸命料理を作りますが、本人は食べようとはしません。

ですが、半数に近い人は、誰もいないところで過食を発作的にする場合があり、その後は、自分がしたことに対して嫌悪感を持ち、下剤などを用いたり、吐いたりすることもあります。そして、このことを長い時間をかけて繰り返すことが続きます。

潰瘍性腸症候群

過敏性腸症候群は腹部症状(腹痛、お腹の張り)と、便通異常(便秘や下痢)を繰り返す慢性的疾患のことを言います。タイプは3つに分類されています。便秘型、下痢型、そして、その二つを併せ持った混合型(交替型)です。

この病気の厄介のところは、他の消化器系の病気のように、異常を確認するのに視覚するのが難しいことです。というのも、原因がストレスなので、単純な下痢や便秘とは違って、腹部症状(腹痛、お腹の張り)やお腹が鳴る等の症状が強く出ることです。

年代的にも20~40歳代によく見られ、学校や職場で問題が出るような状況になっており、ある意味で現代病と言われる所以がそのあたりにありそうです。

例えば、通勤や通学の途中の電車の中で腹痛を起こしトイレに行きたくなる。試験前に腹痛を起こし集中できない。会議の前に腹痛を起こすなど、緊張や不安を感じるような時に、決まって腹痛を起こし、便通異常をきたすようなことが、日常的に現れるのです。

そのような症状が辛くなって、食事を摂らなくなるようなことが多くなり、それが痩せに繋がっていきます。

神経性食欲不振症の治療

接触障害の問題点に、自分自身が病気であることを自覚しない傾向にあります。それ故、周囲の人たちの観察力が大事になります。この病気のきっかけはダイエットからスタートします。その大元には、ストレスや大人への道を歩むことに対しての抵抗感が隠れていることもあるそうです。

中でも、母親との関係性が背景にあり、それが心に大きく関わっているようです。というのも、この病気になるような人は、もともと母親への依存心が強く、母親の関心を得たがために拒食に走ると言われています。それに両親をはじめ家庭内のトラブルも影響している可能性があります。

特に、そんな鬱積された気持ちは母親に向かい、それで済めばいいのですが、そうはならないで母親を拒否するような態度を持つようになるとのことです。それで、母親が食事を作る姿を見ているうちに、食事に母親の影を見るようになり、それを延長することで、女性としての自分と母親を重ねることで、拒否するような態度をとるとされています。

神経性食欲不振症には、このような背景があるため治療に際しては、身体的な面からの治療、行動面からの治療、そして、精神面からの心理療法などの選択肢があり、これらを有機的に統合化した治療を行うことで回復に向かうようにします。

身体的な治療では、低栄養状態を改善するために、まずは点滴、高カロリー輸液などを施すことなどの身体的治療を優先します。というのも、長期にわたる摂食や拒食によって、極端なほどの低体重になっている場合が多く、最悪なケースでは栄養失調で衰弱死することもあるからです。

行動療法は患者さんが拒食や体重が増えることに対して、不安や恐怖を抱いている場合が多いので、脱感作療法を用いて、患者さんが抱えている不安や恐怖の程度の軽いものからはじめて、徐々に重いものへと、心身をリッラックスさせた上で思い描くイメージになれさせ、そのことによって先程の不安や恐怖を減らしていく方法です。

神経性食欲不振症は、両親と患者さんとの家族間の関係が大きなウエートを占めていることから、家族療法を含めての心理療法が大切になります。そのために、家族とは隔離した状況で治療に当たります。これによって、両親特に母親から完全に隔離されるので、お互いが原点に戻って親子関係を再考できるようになります。親子関係をしっかり理解させるようにします。

両親にも面接を繰り返し、親子関係、養育関係、の問題や発症に関しての経緯、これからの治療方針などに協力を求め、それこそ家族ぐるみの治療に当たります。
この治療に際しては、チームを構成することが大事で、医師の他に、臨床心理士、ケースワーカー、看護師などが参加し、患者さんとの良好な信頼関係を築くことで当たります。

このようにして、チーム医療で患者さんをケアすることで体力の回復を図り、社会復帰を目指します。

過敏性腸症候群の治療

過敏性腸症候群の治療には患者さんの態度を変える必要があります。というのも、これまでの食生活やストレス環境をしっかりと見つめなおすことが大事だからです。その上で、食事療法、運動療法、ストレスリダクションを通して、ライフスタイルを変える態度を持つようにすることが望まれます。

食事療法

下痢を繰り返すことが特徴なので、なるべく香辛料や冷たい飲食物、脂っぽい食事は極力避けるようにします。もちろん、アルコールや乳製品も控えます。逆に便秘の場合は、同じように刺激の強い食べ物は避け、水分や食物繊維を極力摂るようにします。

運動療法

腸の働きを調整するのには運動が最適です。運動はそれだけでなく、ストレスの解消や気分転換にも役立つので、生活の一部として、散歩でもいいし、軽い体操でもいいですからとりいれてみましょう。

薬物療法

薬物療法を採り入れる時は、食事療法や運動療法では症状が好転しない場合に処方されます。症状に応じて薬剤が選択されます。最近ではセロトニンの腸への作用が注目されており、過敏性腸症候群の治療には、早い段階から使われるようになっています。

ストレスリダクションは、ストレスに対する耐性というか、ストレスをコントロールすることです。
特に、過敏性腸症候群はストレスが溜まりやすい人は罹患すると治りにくいので、なおさらのことなのですが、ストレスコントロールが重要になります。

例えば、自律訓練法とか、斬新的リラクセーション法、イメージ法、メッセージ法、減感作法などがあります。
これらの方法はいずれも呼吸法をベースにして、緊張感や不安感を削減・コントロールすることで、心身の安定を図ります。

まとめ

ストレスによる痩せる背景には、気がつかないかもしれませんが、重大な病気に関係することがあります。実際に、摂食障害の有病率を見ますと、若い女性の罹患率は、0.5~3%あると言われています。

ダイエットを始めたのはいいのですが、そこに歪んだストレスが関係すると、摂食障害に繋がることがあります。神経性食欲不振症がその代表的な疾患です。
この病気の心身に及ぼす悪影響は、最悪の場合は死に直結することもあります。病識がないため治療が遅れる場合もあり、深刻な状況に陥りかねません。

冒頭、述べたようにストレスから逃げることはできません。そうだとしたら、ストレスをいかにコントロールするかが大事になります。そこで、心に余裕を持つためにストレスリダクションを一度考えてみませんか。少しは楽になるかも知れませんよ。