紹介予定派遣=正社員ではない?実態から考える優良企業の見極め方

紹介予定派遣は、近年増加しているとされる働き方です。一定の派遣期間を経て、両者合意の上で派遣先企業へ直接雇用される方法なのですが、実は誤解も多い方法と言えます。実際はどのような派遣なのか、そしてメリットやデメリット、事前に確認すべきことなどを徹底的に紹介します。

紹介予定派遣の実態について徹底調査

紹介予定派遣という働き方は、ここ最近で認知されつつあります。しかし耳にしたことはあっても、実態については分からないことが多いですよね。通常の派遣との違いや、紹介予定派遣という働き方のメリット・デメリットを知った上で、自分に合った働き方を選びましょう。

紹介予定派遣とは?

直接雇用を前提とした派遣

紹介予定派遣とは、派遣先の企業に直接雇用されることを前提にした派遣の働き方です。最初は派遣スタッフとして最長6ヶ月間働き、企業との間に双方合意があれば直接雇用、という流れです。派遣からスタートし、将来的には社員として働きたい!と考えている人には、魅力的な働き方の選択肢と言えます。

紹介予定派遣と派遣の違い

紹介予定派遣と派遣とは、全く働き方が異なります。派遣先との直接雇用が前提か否か、という違いが最も大きな違いですが、派遣スタッフから紹介された仕事の成約率にも違いがあります。

紹介予定派遣の仕事成約率は、およそ3割と言われており、通常の派遣と比較してとても低い成約率なのだそうです。仕事成約率の低さの理由は、通常の派遣では行われない「事前面接」とされています。

雇用する企業側も、近い将来自社で直接雇用する人材を選ぶため、履歴書や職務経歴の提出を踏まえて、人柄や自社イメージとの合致などを面接で選定します。通常の採用面接のような流れを経て仕事が成約するのが、紹介予定派遣の大きな特徴と言えます。

紹介予定派遣と特定派遣の違い

特定派遣とは常用型派遣とも言われ、簡単に言うと派遣会社の常用従業員として、派遣先企業へ派遣就労する形の働き方です。最大のメリットは、派遣会社の社員であるため福利厚生がしっかりしていて、雇用や給与が安定している点です。

派遣先の企業が決まっていない間でも、給与を受け取ることができるという安心感があります。登録するために採用試験が行われる点は、紹介予定派遣と同様です。最大6ヶ月後に直接雇用される前提の紹介予定派遣と異なり、特定派遣は登録が決まった段階で、派遣会社に雇用されているという違いがあります。

紹介予定派遣の流れ

紹介予定派遣が決定し、スタートするまでの流れについて確認しておきましょう。特に通常の派遣と異なる点について、確認しておく必要があります。

まずは、紹介予定派遣を扱う派遣会社へ登録を行います。紹介予定派遣を取り扱うのは、厚生労働省から「有料職業紹介事業」の許可を得ている派遣会社です。どの派遣会社へ登録するかは、サービスの特徴などを事前に確認してから選びます。

次に、登録した派遣会社から紹介された、仕事に対しての対応を行います。受ける気持ちが決まったら、すぐに返事をするようにしましょう。その後は履歴書や職務経歴書を企業へ提出することになります。

書類提出後に面接を受けます。企業側は、近い将来自社の社員になることを考慮して面接を行うため、事前に派遣会社の担当者とよく打ち合わせを行い、自信を持って面接に臨みましょう。

無事にお仕事が決まったら、紹介予定派遣としての仕事をスタートさせます。自分が長く働くことになる企業でもあるため、社風や職場の環境などにも目を配りながら、勤務をするのがオススメです。最大6ヶ月の派遣期間の間、雇用先は派遣企業です。

派遣期間終了が近づくと、派遣先の企業および派遣されている本人の両者に対し、意思確認が行われます。これは、派遣会社の担当が間に入って対応してくれるので心配はいりません。雇用形態や就業の条件をしっかりと確認し、自分の意思を伝えます。

そして、両者の雇用意思と入社意思が合意に至ると、無事に採用が決まり直接雇用へとシフトします。ここからの雇用先は、派遣先の企業になります。

紹介予定派遣が多い職種

紹介予定派遣が多い職種は、圧倒的にオフィスワークです。これは通常の派遣と変わりません。事務関係の仕事を希望している場合は、希望条件を満たす案件を選べる可能性がありますね。また、営業や販売の仕事が通常の派遣と比べて多いのも特徴です。

営業職としては、ラウンダーと呼ばれる仕事も多いようです。ラウンダーとは、簡単に言うとルート営業です。個々の販売店を回りながら、自社商品の提案販売を行います。また、販売店とコミュニケーションを取りながら在庫や売り場の展開状況を確認したり、販売店側の要望を確認する内容の営業です。

営業や販売での就職を考えている人は、直接雇用の際の雇用形態などを確認した上で、紹介予定派遣のメリットを生かしての就職の道を考えても良いですね。

紹介予定派遣のメリット

派遣期間中に見極めができる

紹介予定派遣は、最大6ヶ月間の派遣期間を経ての直接雇用となります。つまり、その派遣期間に、近い将来自分が雇用される企業の見極めをすることができるとも言えます。

実際の環境を見たり、働いて実感した上での直接雇用のため、就職や転職の際にありがちな「こんなはずじゃなかった」という思いや、ミスマッチを防ぐことができるという点が、紹介予定派遣の最大のメリットです。

その最大のメリットを生かし、派遣期間中は、自分から企業の環境や人間関係を感じ取っていくような働きかけをするようにしましょう。

雇用条件を事前に知れる

通常の就職活動とは異なり、求職者と雇用先企業の間に派遣会社が仲介として入ってくれているため、雇用の条件を事前に知ることができます。

特に、意思確認の際に提示される給与面や就業の条件など、自分では判断がつかない部分についても相談に乗ってもらうことができます。不明な点があれば雇用先の担当者ではなく、派遣会社の担当者へ確認することができるため、質問がしやすいのも嬉しい点ですね。

未経験でもチャレンジしやすい

転職活動を行う際に気になるのが、経験の有無が採用条件に含まれているかどうかですよね。自身のこれまでの経験の中で仕事を探すと、選択肢が狭くなってしまったり、未経験でも採用枠のある企業を探すことになります。選択肢の狭さは、転職活動の難しさにもつながります。

しかし、最大6ヶ月間のお試し期間とも言える、派遣期間がある紹介予定派遣では、未経験の仕事であっても派遣期間中に経験を積むことができます。そのため、新たな職種にもチャレンジしやすいと言えます。

実力や人柄をアピールしやすい

お試し期間とも言える、派遣期間をともに過ごす雇用先企業の担当者や部署のメンバーを通し、仕事のスキルや職務経歴書などの書面情報ではなく、実際の仕事上における仕事の実力や、人柄を見てもらえることができます。

これは、意思確認の際や評価の際に重要な判断基準となり、書面や面接だけでは分からない部分を事前に見たうえで、自社とのマッチ度合いなどを判断してもらうことができ、より両者のミスマッチを防ぐことができます。

特に、仕事のスキルには自信があるけれど面接は苦手だという男性や、年齢制限などで書類審査を落とされてしまうという人にも、紹介予定派遣の仕組みはメリットと言えますね。

紹介予定派遣のデメリット

必ず直接雇用されるわけではない

しかし、派遣期間を終了した後、自分が希望すれば必ず直接雇用されるという訳ではありません。例えば、派遣期間中に雇用先企業の状況が変化し、派遣社員の契約を解約せざるを得なくなる、派遣切りが行われる可能性も全くないとは言えません。

また、紹介予定派遣は直接雇用することが前提とされていますが、これは派遣期間終了の段階で、両者に雇用と入社の意思が合致する場合に入社するという制度です。つまり、どちらかの意思がなければ、直接雇用の道は閉ざされるというわけです。

平成25年度の統計結果によると、紹介予定派遣を利用した人のうち、実際に直接雇用された割合はおよそ54%です。さらにその54%のうち、正社員として雇用されたのはおよそ57%です。つまり、紹介予定派遣を選択した人のうち、30~40%のみが正社員として直接雇用された計算です。

直接雇用に至らなかったおよそ46%は、契約不成立として終了し、同じ企業へ派遣社員として居続けることはできません。

「正社員」とは限らない

「直接雇用」と聞くと、自然と正社員をイメージしてしまいますが、実際は異なります。直接雇用とは、派遣会社が仲介に入るのではなく、雇用先の企業が直接雇用契約を結ぶ、ということのみが決まっているだけなので、正社員・契約社員・アルバイトであっても直接雇用に変わりはありません。

面接を受ける企業を選定する段階で、雇用条件を必ず確認し、不明な場合は仲介に入っている派遣企業のスタッフに確認してもらうようにしましょう。

派遣期間の方が待遇が良い場合も

直接雇用された際の条件は、派遣社員として働いていたときとは異なります。そのため、給与面や休日が取れる日数など福利厚生面でも、派遣企業の方が恵まれている場合もあります。

直接雇用、という言葉で面接に至ることのないよう、直接雇用された後の待遇などについても、事前に可能な限り把握するようにします。

派遣採用までのハードルが高い

通常の派遣と比較し、紹介予定派遣は採用決定までのハードルがとても高いとされています。面接も形ばかりのものではなく、職務経歴書などを見ながらしっかりと行われるそうです。

雇用する企業側としては、通常の転職希望者に対する面接と異なり、直接雇用に至った際は人材派遣会社に対し紹介料を支払う必要があるという点や、派遣期間の後は自社の社員として雇うことを想定するため、どうしても慎重になっているようです。派遣とは言え、厳しい採用試験になることは変わりないと言えます。

実際はどうなの?

紹介予定派遣の成功例

年齢的なことや将来を考え、正社員になるための方法の選択肢を広げるため、紹介予定派遣を利用したという女性がいます。彼女は派遣社員から正社員を目指し、最終的に貿易事務の仕事に就きました。

紹介予定派遣を選択したことで、会社選びに対する視野が広がったという実感があるそうです。また、面接時とのギャップを感じずに、就職できるというメリットに魅力を感じたと言います。

結果的に直接雇用されない可能性も分かっていましたが、次回の反省に活かせる経験になるはずと、ポジティブに考えていたのだそう。

派遣期間中は、長く働ける企業なのかどうか、社員になったときのキャリアプランや任せてもらえる仕事に就いて考え、社内の人とも積極的にコミュニケーションを取っていたそうです。

もちろん派遣会社の担当者へも力を借り、自分の希望と合致しているかどうかを、冷静に分析したのが良かったと振り返ります。「社員として働きたいけれど、自分に合う企業もきちんと見極めたい」という人に、紹介予定派遣はオススメのようです。

紹介予定派遣の失敗例

失敗してしまった例としては、派遣期間中で正社員を断念した例などがあります。派遣期間中の見極めが重要であることが分かる事例として紹介します。

面接の場で即決してもらい、小規模ながら女性社員の雰囲気が良く決めた企業が、すでに退職者を多く出しており、在籍中の女性社員も入れ違いに退職するという事実を、入ってから知ることになったのだそう。

また、仕事内容も事前に聞いていたものとは異なり、内勤業務での契約だったはずが外回りを行ったり、社員が起こしたミスのフォローを押し付けられるような仕事を頼まれたりと、とても納得のいかないものだったと言います。

このまま社員として入社しても、就きたい仕事にはつけず、長く勤めたいと思える会社でもないということで、入社の契約を断ったのだそう。事前の見極めが非常に重要で、自分が入社した後のことをしっかりと考えることができたために下した判断と言えます。

業界大手3社の特徴

アデコ株式会社

世界最大級の人材紹介サービス企業です。求人数の多さや福利厚生面で一定の評価があり、また、紹介予定派遣に積極的な人材派遣企業と言われています。

首都圏だけに限らず、それぞれの地元の大手人気企業の案件も豊富とされており、JTBやアフラック、JCBなど、大手の関連企業の案件など、優良で魅力的な案件が見つかる可能性があるのだそう。

マンパワー・ジャパン

マンパワーグループは、日本で初めて人材派遣を始めた企業です。そのため、紹介予定派遣での実績も多数持っていることが強みと言えます。

また、担当者に対する派遣スタッフからの評価がとても高く、親切な担当者が多いことも特徴のようです。特に紹介予定派遣では、担当者との面接前の打ち合わせや情報提供、アドバイスなどが重要でもあり、相談しやすい関係性を作ることが大切と言えます。信頼できる担当者である点に、満足する人が多いのだそう。

インテリジェンス

元々人材紹介部門としての評価の高い企業のため、そこでの実績から紹介予定派遣の求人も多数揃っています。その数は、インテリジェンス全体のおよそ30%という多さなのだそう。

また、キャリアサポートが充実している点も評価が高く、派遣社員を経てのキャリアアップを考えている人や、今後に不安を感じている人などは、キャリアカウンセラーによる面談で、相談することができます。

派遣会社とのコミュニケーションで働き方をみつけよう!

メリットもデメリットもある紹介予定派遣ですが、正社員を目指して頑張りたい!と考える人には、ひとつの選択肢として、今後さらに導入する企業が増加することも考えられます。

派遣会社を選んだ後は、担当者と共に自分がどのような働き方をしたいのか、何がしたいのかを見つめながら、自分に合った企業を見つけていきましょう。