セクハラとはどういったものが当てはまる?されたらどうする?正しい基礎知識から被害の事例や対処法

セクハラと言っても、なかなかどの段階からがきちんとした対応をしてもらえるかわかりにくいため、日々セクハラではないかと思いつつもそのまま放置してしまっている人などが多いのではないでしょうか。そんなセクハラで悩んでいる方へ、今回はセクハラの基礎知識から分類、被害の事例や対処法までをご紹介します!

セクハラとは

セクハラとは、セクシャルハラスメント(英語:sexual harassment)の略語であり、日本語では「性的嫌がらせ」という意味で使われています。起源は1970年代初めにアメリカの女性雑誌「Ms」の編集主幹であるグロリア・スタイネムらが作り出した造語であると言われています。

また、アメリカでセクハラ行為が実際に人権法に違反する性差別であると認められたのは、1986年の裁判であるようです。そして、セクハラという言葉が日本で使用され始めたのは、1980年代の半ば以降であり、実際に民事裁判として扱われたのは1989年からであると言われています。

この1989年のセクハラの民事裁判がきっかけで、日本でもセクハラという言葉が広く認識されるようになり、1989年の新語・流行語大賞の新語部門で金賞を受賞するほど、多くの人から注目される言葉となりました。

そして、その後セクハラは一過性の流行語では終わらずに、日本語として浸透し定着するようになったと言われています。また、1992年のセクハラの民事裁判がきっかけとなり、今日のセクハラ防止ガイドラインが生まれたと言われています。

現在ではセクハラの対象も、男性から女性だけではなく、女性から男性、または女性から女性、同性愛を伴う性的嫌がらせもセクハラであると認められるようになりました。さらに、「体育会系」の指導として行われてきた男性から男性への性的ないじめも、セクハラと認められるようになったと言われています。

セクシャルハラスメントの基礎知識

セクハラの定義

職場におけるセクハラの定義とは、職場において相手(労働者)の意思に反して不快・不満な状態に追い込む性的な言動を含む行動などであり、職場において行われる上司などの性的な言動に対し、労働者側が労働条件において不利益を受けることや、労働者の労働環境が害されることであると言われています。

また、職場とは労働者が業務を行う場所を指しているため、通常就業している場所以外の場所、取引先の事務所、打ち合わせのための飲食店、接待、顧客の自宅、取材先、出張先、業務で使用する車中など、すべてが含まれます。

そして、労働者とは正規労働者以外にも、パートタイマー、契約社員など事業主が雇用する労働者のすべてが対象となります。

セクハラの判断

セクハラの判断には個人差があるため、勝手な憶測や思い込みで判断をすることは危険であると言われています。通常(一般の通常人としての女性または男性)の感じ方が判断の基準になると言われていますが、被害者個人の感じ方がそれぞれ異なるために、一般という概念自体があいまいであり、同じ行為をされても相手により変わってしまうことがあるため、その判断の基準は困難であると言われています。

また、行為を受けた本人が「不快」だと感じれば、それはセクハラであると判断される可能性があるので、以下のようなことに注意する必要があります。

1.親しみをこめたつもりの言動であったとしても、相手が不快に感じてしまうことがあること
2.不快に感じるか感じないかには、個人差があるということ
3.相手と良好な人間関係ができていると、自分だけが思っている場合があること

セクハラに関する法律

セクハラに関する法律は、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)」というものがあり、雇用の際に男女ともに均等な機会を確保しなければいけないという趣旨の内容のものになっています。

この法律は、職場におけるセクシュアルハラスメントの発生の防止をするために、事業主が雇用の管理に必要な措置を取るように義務付けているものです。

セクハラとパワハラの違い

セクハラとは、「性的嫌がらせ」「意思に反する不快な性的言動」などに対し、パワハラは、「権力を不当に利用した嫌がらせ」であると言われています。しかし、このセクハラとパワハラの境界線は、セクハラもパワハラの1種であるとする説もあるため、非常に難しいと言われています。

パワハラについては、加害者にもパワハラの自覚がないことが多いため、一般的に立証が難しい場合の方が多いようです。その点はセクハラについては、加害者側にもセクハラの認識がある場合が多いため、パワハラよりも立証はしやすいと言われています。

セクハラの分類

拒否すれば不利益を与える「対価型」

セクハラは大きく「対価型」と「環境型」の2つに分類することができます。対価型とは、職場の地位や役職を利用して性的な要求をしてくるものです。部下などに対し昇進や高待遇など、今より良い条件と引き替えに性的な服従を要求するようなケースは「対価型」のセクハラであると言えます。

食事やデート、性的な関係などを執拗に迫り、もしそのような要求を拒んだ場合、解雇、降格、減給、人事異動などの不利益を与えるケースを指します。

卑猥なものを見せる「環境型の視覚型」

「環境型」のセクハラとは、性的な言動で就業環境を不快にさせ、就業する上で見過ごせないほど働きづらい環境を作ることを指します。この「環境型」のセクハラには「視覚型」「発言型」「身体接触型」の3つの種類があります。

「視覚型」のセクハラは、職場で卑猥な雑誌を見せたり、事務所内にヌードポスターを貼るなどして女性にとって不快な環境を作ったりする例があります。不快に感じさせるほど性的魅力をアピールするような服装も視覚型のセクハラに該当する場合があります。

性的発言で不快にさせる「環境型の発言型」

「発言型」のセクハラとは、性的な冗談を繰り返し言って不快な気持ちにさせることです。本人はコミュニケーションのつもりであっても、身体的特徴について言ったり聞いたりすることはセクハラに該当する可能性が高いです。

「恋人はいるのか?」「性的な経験は?」などと、個人的な質問や性的な質問を繰り返すことなど、プライバシーに立ち入りすぎるのも、この「発言型」のセクハラに値します。さらには私生活の秘密の噂、性的な内容の話などを意図的に職場や取引先で流すなどの行為も「発言型」のセクハラに該当します。

胸などを触る「環境型の身体接触型」

「身体接触型」のセクハラとは、胸やお尻、腰など、身体を触る行為のことを指します。この身体接触型のセクハラは、判断の基準が比較的ほかのセクハラと比べて簡単であるため、セクハラの中でももっともわかりやすいものの一つと言えるでしょう。

また、肩を揉むなど性的な要素が少ない接触でも、たびたび繰り返されて不快に感じる場合はセクハラとみなされる可能性があります。

セクハラ認定される可能性のある言動や行動

性的な表現を含む発言

性的な冗談や質問など、性的な経験や性生活についてを話題にしたり、下着のサイズや色などを尋ねるたりすることすべてを含みます。発言する本人が自覚してする性的な発言、女性の胸やお尻、脚などに関する話題や、プライベートに踏み込んだ性的な話題などは、セクハラと認定される可能性が高いでしょう。

これらは、自覚していないで発言されるケースも多く、笑いを取るためやコミュニケーションの一環としてなど、場を和ませるために性的な要素を取り入れた話題をした場合などにも、セクハラと認定される可能性もあります。

この場合には、その場がたとえ盛り上がったとしても、全員が好意的にその発言を受け入れているとは限らず、中には職場上の付き合いであるために我慢している人がいる可能性もあります。

セクハラに該当するかどうかは、発言を聞く側の感じ方であるために、その発言が聞こえる範囲内の人が一人でも不快に感じれば、セクハラとみなされることもあるため、注意する必要があるでしょう。

また、同性同士であったとしても、相手に無理矢理話に付き合わせるだけでもセクハラとなります。相手が嫌がっている・恥ずかしがっているのにもかかわらず、性的な話題を相手を特定せずに繰り返す人も、相手が誰であっても(同性でも)セクハラとみなされるので、気をつけるようにしてください。

性的な噂を流す

好意を持った相手が自分の思い通りにならない時や、もしくは面白くないことがあった時などの腹いせに、性的な噂を流されるケースなどもセクハラに認定されます。また、このような場合には、性的な噂がセクハラに認定されること以外にも、噂を流すことにより名誉毀損にもつながっているのも重要なポイントです。

名誉毀損の場合には、損害賠償の対象にもなり、噂とはその場にいる大勢の人が証人となり得るため、噂を流した側はもはや争っても勝ち目はないと言って良いでしょう。

しつこく誘う

嫌がる相手に食事やデートなどを、しつこく強要するのもセクハラと認定されます。性的な問題に発展する前の段階であるために、見過ごされがちではありますが、このような場合にもセクハラと認定されるので覚えておきましょう。

とくに、職場で立場的に断りきれない状況などで、食事やデートに応じた場合には、後からセクハラであると訴えることも可能です。仕方なく応じた場合と、好意的に応じた場合とでは区別されるからです。

年齢や性別による否定や差別

「いい歳」をして、などといった侮辱的な発言も、その状況によりセクハラと認定されることがあります。冗談で使われることも多い言葉ではありますが、相手に不快感を与えていれば、人格否定に該当するために、セクハラであると認定される可能性があります。

また、「女(男)のくせに」「女(男)には無理」「女(男)らしくしろ」などの、性別を理由に特定の表現をするのも、性差別となり年齢と同様にセクハラに認定されます。日本では男尊女卑の社会構造が過去にあったことや、男女の身体的な特徴からくるキャリアの差が生まれやすいために、こうした差別的な発言も未だに根強くされることがありますが、このような考え方自体がセクハラと認定されます。

お酌を強要する

宴会や飲み会の席などで、無理矢理お酌を強要するのも、セクハラと認定される可能性があります。アフターファイブや社員旅行などでも、職場の延長とみなされる場合には、カラオケでのデュエットを強要したり、お酌やダンスなどの強要もセクハラと認定することができます。

不用意な接触

相手が望まないのに、体に触れること・直接のボディータッチも、セクハラに認定される行動と言えるでしょう。寄りかかったり、胸やお尻を触ったり、肩に手をかけたり、髪の毛に触れたりなどの行為は、「相手が望んでいない場合」には確実にセクハラと認定されます。

この場合には、程度によらず犯罪行為とも取れることがあるため、裁判を起こされて損害賠償を請求される可能性もあります。しかも、被害者が退職をしてから訴えられるケースが多いため、辞めるからといって必要以上に体に触るなどの行為は、相手が嫌がっている場合にはしない方が良いでしょう。

セクハラ被害にあったら

記録や証拠を集める

もしも、被害にあった場合には、以下のような事柄を細かく記録をするようにしましょう。

・いつ(被害を受けた日付)
・どこで(場所)
・だれが(加害者)
・言動や行動
・周囲にいた人(証人)

また、可能であれば、犯行現場の会話をボイスレコーダーなどで録音したものや犯行現場の録画映像があれば、裁判でも重要な証拠資料となるため非常に役立ちます。また、第三者に説明する時にも有効なので、後で状況が思い出せるようになるべく細かく記録や証拠を残すようにしてください。

拒絶を明確に伝える

とくにセクハラの場合には、あいまいな態度で接していると「嫌がっているようには見えなかった」「合意の上だった」などと、言われてしまうおそれがあります。また、加害者が嫌がっているということに、気がつかない場合もあるので、周りの誰が見ても明らかに嫌がっているということがわかるような態度を示すことが肝心です。

味方をつくる

周りに相談し、社内で同じ悩みを持つ人を探してみることや、上司や役職の高い人に勇気を出して相談するのも一つの方法です。ただし、相談したことが加害者の耳に入ってしまった場合には、被害がさらに悪化するおそれがあるため、相談できる相手は信頼出来る人を選ぶようにしましょう。

第三者機関に相談する

もし、社内に相談窓口がある場合には、相談してみましょう。また、労働基準監督署に対して告発を行うことも可能です。労働基準監督署には相談窓口があり、メールなどでも相談をすることができます。このほかにも、セクハラやパワハラに対する相談を行っている機関はたくさんあるので、自分にあうものを探してみるようにしましょう。

法的に訴える

事態がどうしても改善されない場合には、慰謝料の請求や刑事処罰を与えるために、訴訟を起こして裁判で争うことになります。個人で訴訟を起こすこともできますが、このような場合には、法律に詳しい専門家に相談した方が良いでしょう。

判断が難しい事例

疑似恋愛セクハラ

疑似恋愛セクハラの場合には、部下の好意があると上司が誤解してしまった場合に起こるセクハラであるため、状況によってはセクハラと認定されないことがあるので注意が必要です。部下が上司にちやほやするなどの積極的な発言や行動をし、上司に好意があると誤解させた場合には、セクハラとして認定されない可能性が高いでしょう。

腹いせセクハラ

腹いせセクハラとは、上司から叱られたり振られたことや、上司が他の部下とも仲良くしていることを知ったときなどに、その腹いせとして親しかった当時のお互いが合意の上であったことまでをも、一方的なセクハラであったと「でっちあげる」訴えのことであると言われています。

この腹いせセクハラの場合には、名誉毀損になる可能性ばかりではなく、部下から上司を誘っておいてのちに嫌だったと罠にはめる「ハニートラップ」である可能性もあるため注意が必要です。また、腹いせセクハラでは、部下から積極的なアプローチがあったにもかかわらず、不仲になった後には「じつは初めから嫌だったけれど、断れなかった」などと訴えることもあると言われています。

このような場合には、当事者双方が親しい間柄であったかどうかの「経緯」を調べる必要もあるため、非常に判断が難しいことが多いと言われています。

恋愛破綻型セクハラ

恋愛破綻型セクハラとは、実際に真実の恋愛関係が破綻したのちの、上司による交際を継続する申し出のことを、部下がセクハラであると感じるケースのことであると言われています。この場合には、恋愛関係の終わりの認識の差によって生じるケースであるため、個人的な主観の違いもあり、セクハラの判断が難しいと言えるでしょう。

加害者に対する処分や処罰

まずは注意や勧告

社内に相談窓口がある場合や、上司に相談をした場合には、まずはセクハラをしている当人が呼び出され、事情を聞いてから注意や勧告がおこなわれます。

軽度なセクハラの場合、当事者同士が和解でき、再発を防止することがベストです。しかし、常習性があったり重大なセクハラを行った場合などには、注意や勧告程度では済まされません。その場合、セクハラの加害者に何らかの処分が下される可能性もあります。

人事異動で被害者と引き離す

セクハラをおこなった人は、異動という形で処分されることもあります。セクハラの被害者は、加害者と顔を合わせたくないものです。転勤して顔を合わせずに済むようになれば、被害にあった人も安心して仕事をすることができるでしょう。転勤と同時に減給されるケースもあるようです。

転勤が無理な場合は、配置転換で被害者と加害者を引き離す方法がとられることもあります。

減給されることも

セクハラの処分として減給されることもあります。大学教授や公務員がセクハラにより減給処分が下されたというニュースを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

会社員の場合、異動と同時に減給されるケースもあるようです。

上司の適正なしとして降格

上司が日常的に体に触れてくるセクハラに苦しむ女性もいます。着衣の上から胸やお尻などを触ってくるセクハラの場合、民法に触れる行為として降格処分となることがあります。

自分の立場を利用して女性に性的な苦しみを味わわせる人物に対し、管理職への適性がないとして「降格」にすることは、再発防止として有効な処分となるでしょう。

かなり悪質な場合は解雇

強姦や強制わいせつといった刑法に触れる行為がおこなわれた場合は、懲戒解雇が検討されることになります。また、強制わいせつとまではいかないレベルのセクハラであっても、再三の指導による改善が見込めない場合には、解雇されることもあるでしょう。

この場合に、「不当解雇」だと訴えを起こそうとしても、セクハラの対応をきちんとしている企業では、就業規則などでも倫理規定を必ず定めているはずなので、対抗する余地はないでしょう。

訴えられ賠償請求となることも

セクハラの処分は会社内だけで済まないケースもあります。被害者が精神的な苦痛を訴えて、裁判となる場合もあります。この場合、加害者だけの問題ではなく、会社側も「使用者責任」を問われ、訴えられる可能性があります。

このような裁判で重要になるのは、セクハラがおこなわれたという事実認定です。証人がいないと諦めてしまう人がいるかもしれませんが、普段から手帳にセクハラ被害のメモを残すなど、自分で被害の記録を残しておくことで裁判において証拠になります。状況による証拠が十分に揃えば認められることもありますので、自筆のメモ以外でもボイスレコーダーの音声データやメールなど、証拠を残しておくようにしましょう。

セクハラの判例

企業における事例

日本が関係したセクハラの事例には、以下のようなものがあります。

米国三菱自動車セクハラ事件

1996年にMMMA(米国三菱自動車製造)は、米国政府機関の雇用機会均等委員会 (EEOC) に公民権法違反で提訴された事例です。

男性約3,200人、女性約800人という、男性中心の職場では、日常的にセクハラ行為が横行していたため、不快な職場環境に対して女性従業員が会社に訴えたものの、会社は何の対策もとりませんでした。そのため、約300人の被害者を代表しEEOCが米国三菱自動車を訴え、5年間にわたり戦い続けた結果、最終的には約48億円を支払うことによって和解が成立されました。

北米トヨタ自動車セクハラ訴訟

2006年に北米トヨタ自動車の元社長秘書(日本人女性)が、同社の社長(日本人男性)によるセクハラと、同社のセクハラ対応の不備に対して、1億9000万ドルの損害賠償請求訴訟を起こした事例です。その後、トヨタ側から和解金・約50億円が支払われたと言われています。

教育機関における事例

日本の教育機関におけるセクハラの事例には、以下のようなものがあります。

千葉大学の事例

2008年3月17日に、千葉大学は大学院融合科学研究科の40代の准教授を、女子大学院生にセクハラ行為をしたとして、同日付で停職12カ月の懲戒処分にしたと発表、その後辞職願が提出されたために31日付で退職となりました。

准教授は大学院入試の際にも、女子院生に不適切な出題を行っており、さらにはその前年にも自宅で女子院生に対し、「半年間恋人になれ」と性的行為を強要する発言もしていたとされています。また、「自分の援助なしでは卒業できない可能性がある」などと脅迫的な発言もしていました。

大阪大学の事例

2007年11月20日に、大阪大学は医学研究科の男性教授(47歳)が、教え子の女子学生にセクハラ行為をしたとして、諭旨解雇処分にしたと発表をしています。

京都教育大学の事例

2009年2月にコンパで泥酔した女子学生に対して集団準強姦を行ったとし、京都教育大学の男子学生が逮捕された事件で、男子学生の逮捕後からインターネット上で被害者の女子学生に対するセクハラが、京都教育大学学生や他大学の学生により行われたとされています。

セクハラの書き込みを行った学生は、各大学により処分を受けましたが、同様の行為が続いたため、「キャンパス・セクシュアル・ハラスメント・全国ネットワーク」が京都教育大学および文部科学省へ申し入れを行っています。

東京大学の事例

30歳代の女性研究者は、2009年に東京大学大学院医学系研究科の48歳の男性医師と知り合い、共同研究を行うようになったものの、男性医師は自分の社会的地位を背景に、女性研究者に暴力やセクハラやパワハラを行うようになったとされています。これが元となり、女性研究者は心的外傷後ストレス障害(PTSD)に陥ったとされています。

そして、女性研究者はこの講師を神戸地方裁判所に提訴、男性医師は「セクハラではない」と主張したものの、2015年7月30日に地裁は女性研究者の訴えを認め、男性医師に合計1,126万円の支払いの判決を言い渡しました。

公益法人における事例

公益法人におけるセクハラの事例は、以下のようなものがあります。

日本青年会議所の事例

1998年7月25日に、社団法人日本青年会議所が神奈川県横浜市で開催したイベント会場で、ビキニ姿のコンパニオン2人をステージ上にてオークションにかけていたとし、市民団体などに苦情がありました。神奈川人権センターは、これをセクハラ問題として日本JCに事実調査と公表を求める申し入れ書を提出抗議し、日本JC側はこの事実を確認して謝罪をしました。

その他の事例

その他のセクハラの事例を以下に紹介します。

アデランスの事例

2008年3月に、アデランスの大阪市内の店長の男性が、兵庫県内の店舗従業員を指導の際に、従業員女性に対して、「ノルマを達成ができない場合、自分の彼女になるか、研修もしくは転勤だ」などと言って、無理矢理キスをしようとしたり、体を触るなどのセクハラ行為をしていたことが、2015年1月20日に新聞各社により報じられました。

女性は警察への被害届提出を同社の幹部から止められていたと主張しており、このセクハラ被害によってPTSDと診断され休職したのちの、2011年9月に会社を退職させられてしまいました。これにより、女性が約2,700万円の支払いを求めて大阪地裁に提訴したところ、解決金1,300万円を支払う(半分は男性が負担)ことで和解が成立しました。

その際の和解条項には、男性の勤務地や出張先が、女性の居住地域にならないようにすることも盛り込まれました。

共同組合つばさの事例

2015年6月に、外国人研修制度上の技能実習で来日し、茨城県行方市内のシソ農家で働いていた中国人女性が、セクハラを受けた上に、残業代も一部しか支払われていないと、水戸地方裁判所にシソ農家およびその農家が加盟する受け入れ団体である『協同組合つばさ』に対する訴訟を提起しました。また、この女性を助けようとした際に、受け入れ団体を解雇されたとして、団体の元職員も訴えを起こしています。

韓国が関係したセクハラの事例を紹介します。

ミスアジア・パシフィックワールドでの事例

韓国が主催している、世界各国の美女を集めたミスコンテスト「2011 ミスアジア・パシフィックワールド」において、韓国人大会関係者が参加女性達に対し、上着を脱がそうとしたり体に触ってきたりなどのセクハラ行為を行い、参加女性らが途中で帰国するという事件が発生したことが、中央日報やBBC等により報道されました。

イギリスやガイアナの代表女性は、YouTubeやTwitter上で大会主催者へ対して怒りの告白動画をアップし、大会参加への注意を呼びかけました。これに対して、韓国の大会関係者はセクハラを否定し、「韓国式の挨拶を誤解された」と釈明しています。

韓国芸能界における事例

2009年に韓国人女優のチャン・ジャヨンが自殺、その後「31人に100回以上性的な接待を所属事務所から強要された」と書かれた手紙が発見されました。警察は当初、筆跡の鑑定から手紙は本人のものであると断定していたものの、後に国立科学捜査研究員の鑑定では、別人のものであると鑑定されました。

チャンに性的強要をしたとされている捜査対象者20名は、性的強要のような行為はいつもよくあることであり、誰の事でいつのことかが解らないと記憶が薄れていたために、証拠不十分として全員が不起訴となりました。

また、2010年には、当時未成年のモデルのチェ・ウンジョンに対して、所属事務所の代表が胸を触ったり、ホテルへ誘うなどのセクハラ行為を行ったとして、起訴され有罪判決を受けています。
韓国人権委員会が、韓国の女優に行ったアンケート結果によれば、60,2%の女優が接待を強要されており、このうちの21,5%の女優は性的接待(枕営業)を求められていたという調査結果が出ています。

世界におけるセクハラの事例を紹介します。

PKO隊員による性交渉の事例

2015年6月に、国連のPKO隊員がハイチやリベア、南スーダンなどの現地女性に対して、支援物資との引き換えに性交渉を要求していたことが報じられました。同様の訴えはなんと6年間で480件に上り、ハイチ地震が起きたハイチでは、220人以上の女性たちが薬やベビー用品などと引き換えに、PKO隊員との性交渉に応じていたと言われています。

まとめ

セクハラについての基礎知識やセクハラの分類、認定される言動や行動、被害にあったときの対処法、処分や処罰、セクハラの事例などを詳しく紹介してきました。セクハラは、職場において労働者の意思に反して不快・不満な状態に追い込む性的な言動を含む行動などである言われています。しかし、セクハラの判断には個人差があり、相手により不快に感じることも異なるため、その判断が困難であるとも言われています。

そのため、セクハラにはどのような種類があり、どのように判断をするのかなどを、きちんと被害者側も理解をしておく必要があります。そして、もしこのようなセクハラとであると判断される被害にあった場合には、のちの裁判などのためにも記録や証拠を集めることが重要です。また、自分が嫌がっていることを加害者に明確に伝えられていない場合には、加害者側から誤認であったという指摘を受けることもあるため注意が必要です。

このようなセクハラの被害に遭った際に、社内では解決が困難となった場合には、すみやかに第三者機関に相談をするようにしましょう。もし、それでも解決ができない場合には、実際に法的に訴えることとなります。ただし、疑似恋愛セクハラや腹いせセクハラ、恋愛破綻型セクハラは、セクハラと判断することが難しい事例であるため注意が必要です。

そして、セクハラによって、被害者が精神的苦痛を伴った場合には、裁判となる可能性もあります。裁判にてセクハラと認定をされた場合には、賠償金を請求することができるので、もしセクハラで悩んでいる人は、これらの事例などを参考にしながら、しかるべき対処をとることをおすすめします。