受動喫煙は怖い?身体への影響と診断基準や注意点・避けるための防御方法

受動喫煙とは非喫煙者が自分の意志とは関係なく、タバコから排出される有害物質にさらされる状態を言います。タバコが喫煙者に及ぼす健康への被害以上に大きな影響があることをが指摘されたことなどで、受動喫煙は社会問題として認識されていると言っていいでしょう。この記事では、受動喫煙の問題全般を、なるべくわかりやすくご紹介します。喫煙者、非喫煙者に関わらず、この問題を理解していただける一助になれば幸いです。

受動喫煙って怖い…その実態とは?

タバコが健康に影響を及ぼすことについて、喫煙者(たばこを吸う人)のみならず、非喫煙者にも少なからず影響があることが昨今指摘されています。受動喫煙とは非喫煙者が自分の意志とは関係なく、タバコから排出される有害物質にさらされる状態を言います。

タバコが喫煙者に及ぼす健康への被害以上に大きな影響があることをが指摘されたことや、また「健康増進法(受動喫煙防止法)」が施行されるなど、受動喫煙は社会問題として認識されていると言っていいでしょう。

この記事では、受動喫煙の問題全般を、なるべくわかりやすく広範囲にご紹介します。喫煙者、非喫煙者に関わらず、この問題を理解していただける一助になれば幸いです。

受動喫煙とは?

受動喫煙とは?

タバコの煙は、3種類に分類されています。タバコを吸っている人(喫煙者)が吸い込む主流煙、タバコが燃えて先から直接出てくる副流煙、喫煙者から吐き出される呼出煙の3種類です。このうち、副流煙には主流煙よりも多くの有害物質が含まれていると指摘されています。

ニトロソアミンという発がん性物質は、主流煙のなんと52倍も含まれているとの報告もあるようです。この副流煙や呼出煙を、自分の意志とは無関係に吸わされていることを受動喫煙と言います。

受動喫煙の危険性は、主流煙(喫煙者の吸う煙)がフィルターを通した煙であるということだけでなく、副流煙は直接発生した煙を吸い込むということとともに、副流煙は主流煙より低い温度で発生した煙であるため、たばこの葉やたばこを巻いた紙などが不完全燃焼することが多く、主流煙より有害物質を多く含むとの指摘があります。

この有害な煙を自分の意志とは関係なく吸わされているという事実により、喫煙者がマナーを守ればすむ問題と、受動喫煙の問題を単純化することはできなくなっています。

また、昨今では、三次喫煙という問題も指摘されています。これは、タバコの煙が残留した車のシートや部屋のカーテンなどに付着した煙が、化学反応を起こしてやがて揮発しその車や部屋に入室した人が有害物質に触れることで健康被害にあうことを言います。

タバコの煙から出たニコチンなどのる有害物質は、カーテンなどの表面に付着して化学反応を起こした状態のほうが危険であるとの指摘もあります。たとえ換気装置が完備されていたとしても、喫煙された部屋などに入ることで三次喫煙の危機にさらされることになるのです。

髪の毛に付着したタバコからでる有害物質から、三次喫煙のリスクがあるとの指摘もありタバコの健康被害が喫煙者だけの問題とは言えない状況がますますクローズアップされているのです。

受動喫煙防止法ができた

このような状況に鑑みて、2003年(平成15年)には、健康増進法が策定されました。

そこでは「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。」と定められています。

また、一定の条件に合う事業者に対しては、喫煙室の設置にかかる工費などの1/2を助成(上限200万円)する制度「受動喫煙対策助成金」についても実施されています。このように受動喫煙に対しては、社会の関心も年々高まってきてていると言えるでしょう。

受動喫煙症診断基準

また、受動喫煙防止法(健康増進法)の規定により、受動喫煙症と医師の診断により認定されば、受動喫煙をやめさせなければならないことになりました。受動喫煙症の判定基準は、以下の通りです。

レベル0 正常  非喫煙者で、受動喫煙の機会がない。

レベル1 無症候性急性受動喫煙症 
(疾患)急性受動喫煙があるが、無症候の場合。 
(診断)タバコ煙に曝露の病歴があればよい。コチニン検出は不要。 
(注意)本人がタバコ煙曝露についての自覚なしに見過ごされることもある。

レベル2 無症候性慢性受動喫煙症 
(疾患)慢性受動喫煙があるが、無症候の場合。 
(診断)週1時間以上の曝露が繰り返しある。コチニンを検出できる。 
(注意)本人がタバコ煙曝露についての自覚なしに見過ごされることもある。

レベル3 急性受動喫煙症 
(疾患)目・鼻・喉・気管の障害、頭痛、咳、喘息、狭心症、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、脳梗塞、発疹、アレルギー性皮膚炎、化学物質過敏症 
(診断)非喫煙者がタバコの煙に曝露した事実のみで、コチニン検出は不要。  
(注意)眼症状にはかゆみ、痛み、涙、瞬目などがある。鼻症状にはくしゃみ、鼻閉、かゆみ、鼻汁などがある。これらは一般に非喫煙者の方が強い反応を示す。
1.症状の出現が受動喫煙曝露開始(増大)後に始まった。 
2.疾患の症状が受動喫煙の停止とともに消失する。 
3.タバコ煙以外の有害物質曝露がない の3点があれば、可能性が高い。

レベル4 慢性受動喫煙症 
(疾患)化学物質過敏症、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、COPD,小児の肺炎、中耳炎、気管支炎、副鼻腔炎、身体的発育障害など。 
(診断)非喫煙者が週1時間を超えて繰り返しタバコ煙に曝露。曝露後24時間以内に測定した尿からコチニンを検出。 
(注意)但し、1日数分であっても連日避けられない受動喫煙がある場合はこれに起因する慢性の症状やタバコ病が発症する可能性がある。状況を総合的に判断し、1日1時間以内であっても受動喫煙症と診断して良い。

レベル5 重症受動喫煙症 
(疾患)悪性腫瘍(とくに肺癌など)、乳幼児突然死症候群、COPD,脳梗塞、心筋梗塞(致死性の疾患の場合) 
(診断)非喫煙者が週1時間を超えて繰り返しタバコ煙に曝露。曝露後24時間以内に測定した尿からコチニンを検出。 
(注意)但し、1日数分であっても、連日避けられない受動喫煙がある場合はこれに起因する慢性の症状やタバコ病が発症する可能性がある。状況を総合的に判断し、1日1時間以内であっても受動喫煙症と診断して良い。

以上、日本禁煙学会のホームページから抜粋しました。受動喫煙症の上記診断基準を満たしているかについては、受動喫煙症の診断が可能な医療機関を受診をして医師による判断を仰ぎます。

受動喫煙でおこる健康への影響 母子におこる病気

妊婦、新生児への影響

さて、受動喫煙の具体的に懸念されている影響を見て行きましょう。まず、妊婦、新生児については、最も大きな影響があると懸念されていると言っても過言ではありません。流産、早産、新生児の低体重化などについては、夫の受動喫煙に対する因果関係を指摘する研究結果があるようです。

また、乳幼児突然死症候群は、今まで健康だった乳児が突然死亡する疾患ですが、親の喫煙による受動喫煙の影響が最も大きいという調査結果があるあります。新生児の将来の肥満、糖尿病などとの因果関係が指摘されているという事実もあるようです。

中耳炎、呼吸器疾患、小児がん

子どもへの影響はどうでしょうか。発達途中の子供には、大人とは別の影響が懸念されています。タバコの煙の悪影響により、呼吸器疾病のリスクが高まるようです。

また、耳もタバコの煙の影響を受けると思われ中耳炎にかかるリスクが高まるようです。小児がん(白血病、リンパ腫、脳腫瘍(のうしゅよう))との因果関係を指摘する調査結果もあります。

落ち着きのなさ・言語能力・身体発育の低下

また、小児の場合、大人に比べて未完成な脳に影響が出る懸念があると報告されています。言語能力が低い、落ち着きがない、身長が伸びないなども報告されているようです。

歯肉の着色

小児の場合、親が喫煙する場合、歯肉の着色が多いとの指摘もあります。ニコチンの作用で、末梢神経が収縮し、歯茎の血流が悪くらなるためとの指摘があるようです。

受動喫煙でおこる健康への影響 成人への影響

がん

受動喫煙の成人に対しての長期的な影響として指摘されている事項を見て行きましょう。長期的に受動喫煙が続けらされた場合の影響として、肺がん、副鼻腔がん、子宮頚がんなどの発症リスクが高いことも報告されているようです。

呼吸機能の異常

気管支喘息の悪化や、呼吸機能全般が低下するリスクは、喫煙者が周囲に多数いること、受動喫煙の時間が長いことに因果関係があると指摘する声もあります。

脳疾患と心筋梗塞

さらに受動喫煙により血流が悪くなることによって、血栓ができるリスクが高まり血管の収縮が起こることも多くなります。それにより生活習慣病である、脳卒中、心筋梗塞、動脈硬化などのリスクが高まることが指摘されているようです。

糖尿病

さらに驚くべきことに、受動喫煙でインスリンをつくる膵臓(すいぞう)の働きが悪くなるため、糖尿病のリスクまで高まるとの研究結果も発表されているのです。このように、受動喫煙の状況に置かれている人は、喫煙者に及ぼすであろうタバコの健康被害と同等か、それ以上の危険性がある状況に置かれているとも言えるのではないかと思います。

注意していても受動喫煙してしまうとき

禁煙場所では大丈夫か

さて、ここまで受動喫煙により起こりうると指摘されている健康被害について見てきました。では、受動喫煙を防ぐには、どうしたら良いでしょうか。完全に防ぐことは、なかなか難しいという現実があります。

例えば、路上でタバコを吸っている人に遭遇した場合であれば、遠くから近づかないように気をつけることもできるでしょうが、レストランなど屋内の場合、完全に密閉されたスペースであればまだ良いかもしれませんが、禁煙席と喫煙席が分かれているだけのような状況では、空調による空気の流れによっては、受動喫煙のリスクがあります。

特に深刻なのが、長時間、そのような場所に居なければいけない状況です。レストランなどであれば、早々に席を立つということもできるでしょうが、オフィスなどで喫煙スペースのそばに、たまたま自席がある場合などは、健康被害への深刻な影響がおこる可能性があると言えるでしょう。神経質すぎるとか、タバコを吸っている人だから良いとか、そのような問題でもなさそうです。

なぜなら、副流煙は主流煙よりも有害物質が多いのは、上述したとおり確からしいのです。ですから、そのような席で、長期間、受動喫煙の状態におかれるということは、重大な健康被害を被るリスクに事業者の都合でさらされていると、会社側の落ち度を指摘されてもおかしくない状況なのです。

空気清浄機があれば大丈夫か

強力な空気清浄機を置いてある部屋であれば安心でしょうか。残念ながらそうも言えないのです。空気清浄機の基本的な構造は、ファンで空気を取り込み、フィルターで空気中にある不純物質を取り除いて、また室内に送り出すという構造になっています。

ですから、空気清浄機の基本性能は、フィルターでどの程度のものを取り除けるかということにかかってきます。タバコから排出される物質である臭いと煙と有害物質のうち、臭いと煙は空気清浄機のフィルターで取り除くことが可能ですが、一酸化炭素やニコチン、その他の発がん性物質などの有害物質はその粒子が小さいためフィルターで取り除くことはできません。

では、換気すれば良いかと言えば、上述の三次喫煙での指摘があります。つまり、タバコを屋内で吸っている場所にいること自体が、受動喫煙、三次喫煙のリスクをともなうということになってしまうのです。

受動喫煙を避けるには?

初期症状を感じたらその場を離れる

ここまでのご説明で、受動喫煙のリスクをなくすためには、喫煙者のいない空間にとじこもるしかないと思えてきますが、それでは日常生活を送ることができなくなってしまいます。では、どうすれば、受動喫煙のリスクを減らすことができるでしょうか。まず、タバコの臭いがする場所には近づかないことが重要です。

ただ、消臭などされている場合は、三次喫煙のリスクを臭いだけでは防げません。受動喫煙症の初期症状を感じたら、すぐにその場を離れることが重要でしょう。のどの痛み、目がしみる、心拍数が上がってドキドキする、寒くない部屋の中で冷え症のような感じを受ける、などの症状が出たら、とりあえず受動喫煙を疑ってもいいかもしれません。

特に、妊娠中の方は、小さいお子さんと同伴されてる場合は、すぐに別の場所に移動することを考えましょう。

マスクの着用

PM2.5と言えば、今話題(?)の有害物質を表す言葉です。PM2.5とは、P直径2.5μm(1μm(マイクロメートル)=1mmの1000分の1)以下の非常に小さな粒子のことを表す総称です。PM2.5は粒子の大きさが非常に小さいため、肺の奥深くにまで入り込みやすく、ぜんそくや気管支炎などの呼吸器系疾患や循環器系疾患などのリスクを上昇させると考えられています。

ですから外国から飛来して迷惑というお話につながる訳です。一方、タバコから出る有害物質もPM2.5です。ですから、受動喫煙対策として、PM2.5対策のマスクをつけることで、受動喫煙の影響をある程度軽減できる可能性があります。

マスクの規格には、N95とDS2という規格があります。N95は米国労働安全衛生研究所(NIOSH)が定めた規格で、DS2は日本の厚生労働省が定めた規格です。この規格に合格したマスクであれば、PM2.5対策に有効であると思われます。

しかし、三次喫煙の問題もあり、髪の毛にタバコの煙が付着して有害物質にあとでさらされるリスクにも指摘があることは前述のとおりです。マスクをしていれば安心とは思わないほうが良いでしょう。

まとめ

・受動喫煙とは、非喫煙者が自分の意志とは関係なく、副流煙を吸い込むことでタバコの有害物質にさらされる状況を言います。

・受動喫煙は「受動喫煙防止法」が制定されるなど、社会的な問題ととらえられています。

・タバコの副流煙は、喫煙者がタバコを吸って吸い込む煙よりも、有害物質が多いと言われており、また三次喫煙と呼ばれる、タバコの残留物からタバコの有害物質にさらされる可能性も指摘されています。

・受動喫煙から受ける健康被害としては、妊婦・新生児に対しては、流産、早産、乳幼児突然死症候群、新生児の低体重などのリスク、子供には、中耳炎、呼吸器疾患、小児がん、落ち着きのなさ・言語能力・身体発育の低下、歯肉の着色などのリスク、成人には、がん、呼吸機能の異常、脳疾患、心筋梗塞や糖尿病などのリスクがあると言われています。

・喫煙室の近くや、空気清浄機のある部屋でも、受動喫煙のリスクはあると指摘されています。

・喫煙の可能性のある場所で、体調が崩れるなどの受動喫煙症の初期症状を感じる場合は、すぐその場を離れましょう。また、その場を離れることが難しい場合は完全にはリスクを排除できませんが、PM2.5に対応したマスクを着用するなどで対応するなど検討してみてはいかがでしょうか。