タバコが止められないのは「ニコチン」にあります。ニコチンは害虫駆除に使う農薬に匹敵するほどの高い毒性を持ち、さらに脳を洗脳して依存性を高めてしまう怖い成分です。ただでさえ危険な物質がタールや一酸化炭素などが加わることで、さらに凶悪性を助長しています。タバコを止めるためには、まずこれらの本当の怖さを理解することが大切です。

タバコの三大有害物質の一つ、ニコチンにはどのような害があるのか?

「タバコは百害あって一利なし」といわれていることは喫煙者、非喫煙者ともによく知っていることです。私たちの体にとって何ひとつ良いことがないばかりか、健康被害を確実にもたらし、しかも吸わない人に対しても加害者になることがわかっているのにもかかわらず「止められない」のはどうしてなのでしょうか。

それは「ニコチン」による依存症のためです。肺からとりこまれたニコチンはあっという間に脳に到達します、そして脳内にある快楽を感じる部分を刺激するのです。いったんニコチンの快楽を知ってしまった脳は、ニコチンの強烈な快楽を求め、それが手に入らないとイライラしたり、集中力がなくなったりして「渇望」状態になり、徐々に依存が始まります。

タバコの三大有害物質である他の「タール」や「一酸化炭素」だけなら依存は生まれませんから体に悪いと思えばすぐにやめられるでしょう。しかしニコチンが加わることでタバコはなかなか止めることができないのです。

タバコの三大有害物質とは?

ニコチン

ニコチンはタバコの煙の部分です。神経毒が非常に強く、煙を吸うことで脳に快楽をもたらします。その一方で繰り返し吸うことにより、体内にニコチンがなくなったときに「離脱症状」と呼ばれるものがあらわれます。

イライラしたり、集中力がなくなったり、無気力になるなどの症状で、なんとかニコチンを体に入れたいという欲求が激しくなります。俗にいうニコチン中毒です。

タバコの吸い殻の葉を水に浸けておくと茶色い水に変化してニコチンが溶出してきます。

このニコチンには強い毒性があり、青虫などの害虫駆除に使うことができるほどです。あまりにも毒性が強いということで、タバコの水溶液を害虫駆除に使うことは法律で禁止されています。喫煙者は、それほど強いニコチン毒を毎日摂取しているのです。

タール

タールは、タバコの葉に含まれている有機物質が熱分解によって発生する物質です。黒くベタベタした粘着物質です。タバコに含まれているタールには約4000種類以上の化合物が含まれており、その中で約200種類もの物質は人体に何らかの有害な作用を持つ物質であるといわれています。

タバコを吸ったときにフィルターについている茶色いものがタールです。タールが厄介なのは、体の中からなかなか排除できないという点です。タールは粘性の液体ですから肺などに残り続け、禁煙したとしても長期間悪影響を及ぼします。

「ネオシーダ」というタバコ風味で咳を鎮め、痰を切るという効能があるため、喫煙者がよく利用するOTC医薬品があります。「アジサイの葉」を使用しており、ニコチンやタールとは無縁だと考えられていました。

しかし国の調査では、ニコチンやタールといった物質が含まれており、1本あたりのニコチンの量はタバコの5分の1、タールにおいてはセブンスターよりも多かったという報告がされています。

禁煙器具として使用する人が多いようですが、これを見る限りまったく効果があるものではなく、むしろニコチン中毒を生む温床ともなっています。

一酸化炭素

一酸化炭素は、タバコの葉が不完全炎症を起こすことによって生じます。練炭など一酸化炭素中毒で死亡に至ることも度々あるくらい人体には有害な物質です。

一酸化炭素は血液中に取り込まれると、酸素の200倍以上の速さで赤血球にあるヘモグロビンと結合してしまいます。そうなると、酸素が体全身に行き渡らないので、酸欠状態になります。

つまりタバコを吸うということは、自らを酸欠状態に追い込んでいるということにほかなりません。一酸化炭素による害は酸欠だけでなく、動脈硬化や心筋梗塞の危険性、体力低下と慢性的な不調を生む原因となっています。

ニコチンの作用で身体に及ぼす影響とは?

>精神的、肉体的な依存

タバコを止めたくても止められないというのには「精神的な依存」と「肉体的な依存」が関係しています。

精神的な依存というのは、習慣からくるもので「手持ち無沙汰」「口がさびしい」というものです。

一方、肉体的な依存というのはニコチンに対する薬物依存という「病気」であるため、タバコを吸わないでいると激しい離脱症状があらわれます。血中のニコチン濃度が下がることでイライラや集中力が困難になるなどの症状が出て、それを和らげるために吸い続けてしまいます。

心臓や血管への影響

タバコに含まれるニコチンの作用によって、血管が収縮し、末梢血管への血流が減少します。そのため血圧を上昇させ、心臓や血管にダメージを与えます。

また、ニコチンはコレステロールを酸化させるため、善玉コレステロールまで悪玉コレステロールに変化させ、血液の凝固性を高めるホルモン分泌を盛んにさせて、動脈硬化の原因を作ります。

生理不順

ニコチンの作用によって、女性ホルモンに影響が出ます。女性ホルモンは生理に深く関係するホルモンですから、女性ホルモンの分泌が不安定になると生理不順だけでなく、月経前症候群、不妊の原因にもなります。

肌荒れ

まずタバコを吸うとニコチンによって血管が収縮し、全身に血流が滞ってしまいます。皮膚に近い血管はどれも末梢神経で、非常に細い血管が集まっています。血流が滞ると最初に影響を被るのが、こうした細い血管が集まるところです。

栄養や酸素が送られなくなってしまうと新陳代謝が低下し、肌のターンオーバーもうまくいかなくなるために肌荒れを起こします。

さらに一酸化炭素は血液中のヘモグロビンを酸素から奪い取ってしまうため酸欠状態となり、肌を修復する機能を衰えさせてしまいます。

妊娠、出産、赤ちゃんへの影響


ニコチンは水溶性物質ですから、血液に乗って胎盤から赤ちゃんへと浸透していきます。すると子宮内の赤ちゃんにも大きな影響を及ぼすことになります。赤ちゃんの細胞分裂は驚異的な早さで行われますが、それだけ外部からの影響を受けやすいということです

もし、ニコチンやタールなどの有害物質が細胞分裂に異常をきたしてしまうとしたら、それだけで恐ろしいことです。事実、喫煙を続けている妊婦さんから生まれる赤ちゃんは、平均よりも体重が軽かったり、早産などのリスクも高まります。

実は副流煙の方が害は大きい?

副流煙というのをご存知でしょうか。喫煙者が吸う煙のことを「主流煙」といいますが、吸い込まない煙、いわゆるタバコから立ち上る煙のことを副流煙といいます。これはタバコを吸わない人にとっては非常に迷惑なことで、呼吸をするだけで直に体の中に入り込んでくるものです。

しかも主流煙よりもずっと有害物質を含んでいるのです。ニコチンでは2.8倍、タールでは3.4倍、そして一酸化炭素では4.7倍も多く含んでいるのが副流煙の実態です。

ニコチンの離脱症状って?

禁煙しようと決心した時、今までニコチン漬けだった体に変化が出てきます。通常ですと禁煙後3日以内にピークとなる症状で「離脱症状」といわれています。「タバコが吸いたい」という強い気持ち イライラ、落ちつかない 集中できない 頭痛 からだがだるい、眠い、眠れない、便秘といった形で出てきますが、個人によってその症状はまちまちです。

ニコチン離脱症状は、自分の意志とは全く関係ないところで起こります。

つまりニコチンによって洗脳されてしまった「脳」が、ニコチンの快楽を求めてタバコを吸わせているだけのことです。

しかし、私たちはそのことに気付くことなく「タバコさえ吸えばこのモヤモヤした感じから解放される」と思って、「再犯」を繰り返してしまうのです。

ニコチンにより引き起こされる病気とは?

動脈硬化

動脈硬化は、加齢やコレステロール、高血圧などによって動脈の血管壁が厚くなり、血液が通りにくくなったり、あるいはまったく通らなくなって、細胞に栄養や酸素が行き届かなくなりまわりの組織が壊死してしまうことです。

動脈硬化自体は病気ではありません。そのため病名に動脈硬化という名前はありませんが、血液が滞ってしまうことで起こる重篤な疾患、たとえば心筋梗塞、脳梗塞などの原因になることから、動脈硬化は生活習慣病を改善するために、まず最初に改善しなければならない症状です。

腎臓病

腎臓は体内の毒素を集めて、そしてきれいに浄化する目的を持った臓器です。この腎臓がうまく働かなくなると、毒素が体中にめぐり回って、毒の中で私たち人間は死を迎えなくてはなりません。

ニコチンが体内に入ると「毒物」と判断して腎臓でニコチンを濾過します。そして濾過したものが尿として体外に排出されます。ところがニコチンの場合、その毒素が非常に強いため、無毒にするまで長い時間がかかります。その間、腎臓は働きづめに働いています。
こうして長年、タバコを吸うことで腎臓に負担をかけていると、自分の力ではタバコによる毒素を濾過しきれずに腎臓病になってしまうリスクが増大します。

ニコチンを排出する方法・期間は?

汗を流す

ニコチンは血液に乗って、体のあらゆるところに広がります。通常ではタバコを吸わずニコチンを摂取しなければ、体外に老廃物と一緒に排出されますが、もっと効率よく排出するためには汗を流すことです。

血液中のニコチンは汗と一緒に毛穴の外に排出されやすくなり、また汗をかくことで新陳代謝が活発になるため、肝臓や腎臓に溜め込まれたニコチンの排出にも役立ちます。

水を飲む

水を飲みながらニコチンを排出します。まず朝起きたら今までは「目覚め一服」だったところを「目覚めのコップ一杯の水」に替えます。とにかくタバコを吸いたいと思ったら水を飲みます。一番危ないのが食後の一服。これを水を飲むことでやり過ごします。

体に溜め込んだタバコによる有害物質を水を飲むことで、尿として体の外に排出するという働きがあります。冷たい水の方が効果があるという説もありますが、お腹をこわす可能性があるので、常温やぬるま湯の方が安心です。

解毒作用のある食べ物をとる

ニコチンを排出する、あるいは無毒化する手助けをする食べ物があります。代表的なものとしては「ブロッコリー」「オレンジ」「ショウガ」があります。

ブロッコリーはビタミンB5が多く含まれています。ビタミンB群に属し、体の組織や器官を正常に動かし調整するための重要な働きを担っています。体内に入ってしまったニコチンを排除することで、各器官の正常機能が保たれるようになります。

オレンジなどの柑橘類にはビタミンが多く含まれています。その中でも多くのビタミンCはタバコによって破壊されてしまいますから、タバコを吸っている人は吸っていない人よりも数十倍もビタミンを摂る必要があります。

ショウガは漢方薬にも用いられ、ニコチン毒を排出して中毒症状を柔らげ、血行をよくしてくれるのでニコチンで血流が悪くなったとき、積極的にショウガを使うようにしましょう。

ビタミンをとる

ビタミンCの破壊は、たったタバコ1本で25㎎~100mgといわれており、普通の食生活をしていてはビタミンCがどんどん体内からなくなっていきます。ビタミンCを多く摂取しているようでも、口内炎や口角炎、そして肌が荒れる、ハリ・ツヤがなくなってきたといった場合、ビタミン不足が原因かもしれません。

ニコチンガムを噛む

ニコチンガムを噛むことで禁煙を始めてみましょう。まず普通のガムのように噛んでしまうときちんとした効果が得られないということを知っておきましょう。

タバコを吸いたくなったと思ったときに出番です。ニコチンガムをゆっくり噛み、噛むことでガムの中からニコチンが放出される設計になっています。噛む回数はおよそ15回。ピリッとした刺激を舌に感じたら、ニコチンが放出した印なので頬と歯茎の間にガムを置き、ニコチンを体に吸収させます。

味がなくなったところでまた15回ほど噛んで同じように頬と歯茎の間にしばらく置きます。これをガム1個につき30分~1時間ほど繰り返します。こうして徐々にガムの量を減らしていき、タバコを吸いたい気持ちをコントロールしていきます。

排出期間

タールに比べるとニコチンの排出期間は非常に短く、48~72時間で、ニコチンが体から完全に抜けます。男性、女性など、肝臓の大きさや人種や遺伝的要素によっても、ニコチン代謝酵素の働きが違ってくるので一概には言えませんが、ニコチン自体の毒素の排出器官は比較的短時間で解消されます。

電子タバコにもニコチンは含まれている?

電子タバコはこれから禁煙に挑戦しようという人やタバコの本数を減らしたいという人にとって、とても有効なアイテムです、タバコよりも安く「リキッド」と呼ばれるタバコ香料であるフレーバーをチェンジするだけで、さまざまな味わいのタバコを堪能できるというものです。

今注目を浴びているのがフィリップモリスから販売されている「iQOS キット」です。火を使わず、灰も出ず、においも少ないというもので、禁煙を志す人にとっては救世主的存在かもしれません。

しかし、注意も必要です。日本国内で販売許可されている電子タバコに関してはニコチン入りリキッドは販売されておらず、輸入販売も制限されています。

しかし個人輸入による海外の電子タバコに関しては野放し状態で、中にはニコチンが含まれている製品もあり、依存症や健康被害を助長するというリスクもあるのです。

まとめ

タバコを止めたくても止められない原因はニコチンにあります。ニコチンは毒素が強く少しずつ私たちの体をむしばんでいきます。依存性という点では「覚せい剤」と同じかもしれません。

しかし明らかに覚せい剤と違うところは、誰でも禁煙しようと思えば病院が手を差し伸べてくれるという点です。外来禁煙を受診することでさまざまな禁煙プログラムが受けられるのです。

副流煙などを考えると、喫煙は個人の嗜好品ではとどまらないところまで来ているのではないでしょうか。自分自身、そして愛する人や家族を守るためにもニコチンに支配されている脳を何とか開放してあげたいものです。