DVの特徴を叩いたり、殴ったりという肉体に対する暴力だと思っていませんか?DVは「精神的暴力」「性的暴力」などさまざまな形で暴力としてあらわれ、現実にはこれらの暴力が複合して繰り返されるため、非常に深刻です。複雑なだけに、被害者もDVだと思わずに苦しんでいる女性が非常に多いのです。

DVとは

身体的暴力

加害者によって殴る、蹴る、首を絞めるなど体を傷つける、物を投げつける、殴るふりをする、刃物で脅すなど、暴力が原因で被害女性が骨折をしたり、意識喪失状態、時には死に至ることもあります。 暴力は結婚して始まることが多く、女性が別れようと決心して話をしたとたんに暴力がエスカレートすることがよくあります。さらに加害者は女性が家を出ても探し出し、力ずくで連れ戻そうとするケースが多くあります。 女性が外部に援助を求めようとすることを阻止し、自分の暴力を隠そうとします。たとえば加害者は病院に付き添い、診察室の中でも女性から決して離れようとはしません。そして医師に対して虚偽の事故を自分から進んで説明し弁解したりします。

精神的暴力

DVを行う男は、言葉や態度によって相手を威嚇しながら、自分の思い通りにして相手をコントロールしようとします。女性が望まないことをわざわざさせたり、好みだとわかっているのに、わざとそれを捨てたり、邪見にあつかったりします。 そうして相手に恐怖心を与えて、自分は支配していると言う気持ちを相手にも植え付けます。「そんなこともできないのか!」「お前はほんとにダメなやつだ!」といった人格を傷つけるような発言を毎日浴びせることで、相手が本当に自分が悪いのだと思いこむまで、ねちねちと暴言を吐き続けます。 また、女性の前では威圧的な態度で暴言を吐いていても、友人や親戚などの目があると、驚くほど人格が変わり、いい人をアピールしていきます。そのため、女性がいくらひどい事を言われたとか、DVを受けていると言っても、「あんないい人なのにおかしい…。」と逆に女性の方が悪者になったりする始末です。 加害者であるのに、人の前では被害者の顔をしているので、多くの人は騙されてしまい、誰も男性の方が悪いと思わないのが、よけいに女性の逃げ場をなくし追いつめていきます。 家庭では「誰のおかげで食べていけてるんだ!」とか「家事もたいしてできないくせに」「お前が悪いからこうなった」など、悪いことはすべて女性に責任転嫁してくるため、悪くない事だったとしても、自分が全面的に悪かったと思うようになり、益々被害が表面化しないことになります。 こうした日常生活の中で、精神的にじわじわ追いつめていく方法で、女性の気持ちをコントロールして支配しようとするので、それに反抗する気力や逃れようとする気力が段々無くなっていき、被害を訴えなくなってしまい、女性は無気力になっていきます。 DVの被害がなかなか表にでないというのは、こういった精神面を完全にコントロールされ、逃れられないほどの恐怖心を植え付けていくからなのです。

経済的暴力

経済的暴力とは、女性名義の財産を作らせなかったり、生活費を渡さなかったり、女性が収入を得ることを妨害したりすることなどが含まれます。女性が社会と交流を持とうとすると、それを妨害したり、働けないような理由を探してきて止めたりして、社会から断絶するようにもっていきます。 また暴力による心身への傷や後遺症によって、女性が働きたくても働けない状態に追い込むということもあります。さらには別居後に夫の追跡から逃れるために職を失うことも多くなります。 女性にとって加害者との別居後に待ち受けているのは貧困と住居の問題です。日本でも離婚後の母子家庭の年収は200万円程度であり、生活保護などの福祉的援助を利用しても、男性との格差は大きいものです。

性的暴力

性的暴力とは、女性が望んでいないにもかかわらず、性的な行為を強要してくることを言います。時間も問わずいろんな場面で性的暴力が行われる為、女性は性行為をするのが非常に恐怖になっていきます。 妊娠しているにもかかわらず、女性の気持ちは無視して避妊せず行為を行ったり、人工妊娠中絶なども平気で強要するような場合は、DVの可能性が高いです。 女性にとって望まない妊娠の危険、中絶の決断、中絶を男性に隠すことなどのストレスは非常に大きいものです。さらに男性が中絶せざるおえない状況に理解を示さないどころか、自分に隠していたことで大いに立腹し、暴力をふるうこともあります。 女性が性行為を拒否するのも身体的暴力、経済的暴力のきっかけになっています。男性にとっては「食わせてやっている」ことが、性行為を強制できる一種の交換条件になっているからです。 女性にとって性行為を強要されることは、尊厳を深く傷つけられ、恥辱感や絶望感を持たされることです。しかも外に語られる機会がないままに続いていくことが多く、実際には多くの女性が家庭内での性暴力の被害にあっています。

DVの特徴

1. 継続する暴力

DVを行う男は、通常一回きりでDVが終るということはありません。毎日少しずつ継続的に行われていくので、被害者の精神面が破壊されるまで行われたり、暴力をされて体がぼろぼろになってもまだ行われるのが、DVの特徴です。 継続的に行われるので、被害者は常に恐怖心でおびえ、そこから逃げ出そうと言う気持ちもなくなるほどおびえてしまい、言われるがままの状態で支配されていきます。 こういった暴力はいつ起こるのかわからず、突発的に相手が怒り出した時に起こるため、自分が悪いから殴られるんだとか、自分が悪いから暴言を吐かれてしまうんだと、余計に努力して相手の言いなりになってしまうのです。

2. 潜在化する暴力

潜在化してしまうことで、家庭が男性の「城」となります。男性にとって家庭という城が、他人との調整なしで自分の言い分をすべて通せる都合のいい場所となるのです。一方、女性にとっては危険で我慢を強いられる場となってしまいます。 いつも夫の顔色をうかがい、びくびくしながら生活し、家の中で何かが起こると女性のせいにされ、自分が悪いと思い込まされるので、女性は外に助けを求めることはできないと沈黙していきます。 「家庭は安らぎの場」「民事不介入」という体裁のよい言葉でごまかされ、ますます問題は潜在化していきます。また、加害者からの報復の危険も潜在化の原因になっています。

3. 逃げにくい

身近な人からのDVの特徴として、被害にあった女性の人は必ず深刻な暴力をされていいても、逃げ出すことはないというのが特徴です。これは心身にあまりにも甚大なダメージを受けたために、逃げることでもっと恐怖を味わうくらいなら、相手の思うままにしておいた方が安全だという気持ちが働いて起こるものです。 女性が一人で生きていくための社会的つながりや経済的な材料なども勝手に断ち切るので、女性が逃げ出したとしても、自分ひとりで生きていけないようにされてしまいます。そして、益々逃げ出せない状態に陥ります。 たとえ女性が離婚を考えていたとしても、男性はどのような手を使ってでも、女性を逃がしません。暴言や暴力で相手をねじ伏せ、離婚をも考えさせないようにしていくのです。

4. 離婚は「悪」という価値観

男性側が「家庭内を守るのが女性の仕事」と家事や家庭の雑務を当然のように押し付ける人の場合、女性が少しでも社会復帰しようとしても拒み、家の中に囲おうとします。 そして、家庭内がうまくいかなくなると女性の責任にします。「妻としてきちんと役割を果たしていない」と厳しく叱ったり、「我慢や努力が足りない」といって非難をしたりすることも珍しくありません。家庭のことができない女性が悪い、と女性側に責任転嫁するため、離婚の話になっても、すんなりと自分の非を認めません。 さらに、離婚をするのは悪い事で、一度結婚したらどんなに暴力が酷くても耐えるべきだと言い張られるため、離婚も難しくなります。

5. 暴力が治まるという思い込み

加害者がストレスを蓄積させる緊張期を経て、暴力が爆発する時期があり、その直後に加害者が下手に出る懺悔の気持ちと、加害者が被害にあわせている女性の希望を叶えたり、ご褒美を与え、女性に対してこれで清算されたという気持ちを喚起させる蜜月期の時期があります。 女性は男性が反省するので期待し、暴力をふるわない時の夫やパートナーの優しさや、今までの暴力が嘘のような穏やかな日常になる時期には、その生活にかけがえのなさを感じます。女性は暴力被害を体験していても、この平和な時期を希望し続けてしまうのです。 しかし、加害者がくれるこのご褒美は決して真の姿ではありません。加害者の反省は長続きしないのです。加害者はこの餌付けを繰り返すことで女性の「別れる」という選択への意欲をもみ消そうとします。 被害にあっている女性は、ひどい暴力を受けているにもかかわらず加害者をかばうことがあります。訴えを取り消したり、自分の訴えを後になって事実ではなかったと否定することがよくあります。これは加害者の仕掛けた罠の連続の中で身動きが取れなくさせられるからです。

6. 加害者が女性の気力をくじく

DVが常習化すると、日常的に暴力や暴言を浴びせられるようになります。DVをする男は相手を見下しているため、言葉の一つ一つが威圧的です。「お前が家を出て行っても、誰もお前を信用しない」「離婚しても子供には会わせない」「お前が悪いのに離婚できるわけがない」などと、女性が逃げ出そうとする気力を低下させる暴言を吐きます。 また、女性を支配するために嘘の情報を女性に与えることもあります。「誰かに助けを求めても誰もお前を助けない」「自分しかダメなお前をみてやれない」などと、女性が自力で生きていく力を奪うような発言をして、女性が自分から離れるのを阻止します。

7. 恐ろしいから逃げられない

加害者は女性が別れようとする気配を察知すると、激しい暴力を加えることが多いので、被害女性は行動を起こすことを躊躇してしまいます。多くの実態調査からも女性から別れを言い出されたとき、別居しようとするときに最も暴力が激しくなることがわかっています。 また、被害にあっている女性には別居してからも加害者が急にあらわれるのではないか、追ってくるのではないかという恐怖が植えつけられています。

dvの子どもへの影響

家庭内暴力の子どもへの影響とは

dvの加害者、つまり父親から子どもへの暴力は、女性への見せしめや報復として利用されることが多いのです。夫が離婚しても子どもの親権を渡さないと脅して女性の行動を支配しようとします。また女性が子どもを暴力の対象にさせない、または子どもに暴力を見せないように夫に要求に従ってしまうこともあります。 暴力を止めに入ろうとした子どもが身体的被害を受けるケースも多々あります。女性は子どもを父親からの暴力からかばうとしますが、加害者はそれをはねのけて、ついには子どもを性的に虐待することにもなります。すると女性は子どもをかばえないことへの罪悪感からさらに傷ついてしまいます。 父親から母親への暴力を目撃した子供は、自分を守ってくれる立場の母親が傷つけられているのを見るのはいたたまれないことです。そして、母親だけでなく自分に暴力が及ぶ場合、身体的外傷だけでなく精神的にも大きなストレスがかかります。しかし、子どもなりの判断や対処で隠そうとする傾向が強く、それがまたストレスとなって心身に異常をきたしたりします。

子供ももしかして将来加害者に?

子供は家庭内での暴力を目撃したり被害にあうことによって、暴力的な父親への同一視、母親への軽視などの悪影響があるといわれています。たとえば男の子は父親に、女の子は母親に同一視して、男の子は将来加害者に、女の子は被害者に成長してしまうともいわれています。 dvが存在する過程では、子供は暴力という環境から何かを学習し、身につけてしまいます。巻き込まれた子ども自身が自分には力がなく価値もないと学習してしまったり、暴力が起こらないようにひたすら父親の機嫌をとることに徹して、自我を抑え込んでしまったりすることもあります。 これとは逆に暴力をふるえば、何でも欲しいものが手に入れられる、気に入らなければ暴力で何とかできる、女性への暴力は許されるといったことを学習してしまうこともあります。 これらは、子供の暴力の目撃頻度、子供の年齢、周りの大人が子供にどう説明したか、子どもが暴力をどのように位置づけたかなどによって暴力の影響のあらわれ方はさまざまです。

dvから逃れるために

夫などの身近な男性からDVを受けている女性にとって必要なものはたくさんあります。そのなかでふたつあげるとすれば、ひとつは自分名義のお金、もうひとつは自分のことを遠慮なく話せる友達を持つことです。どちらも簡単そうに思えますが、孤立しているDV被害者の女性が実行することはなかなか難しいのが現実です。 自分名義のお金があれば行動を起こしたときに自分で自分を助けることができます。生活費や行動費を用意してあるかどうかは、その後の選択の幅に大きな差が出ます。 自分の家庭の状態を秘密にしている場合は孤立無援感があります。同棲や結婚をするにしても、独自の友人関係を維持することが重要です。困った話やつらい話はひとりで抱え込むのではなく、表面化させ、複数の人で支え合うと問題解決につながります。 難しいことでもそれを誰かに話せると人はホッとするものです。そして第三者の目から見た現状に耳を傾けるということも大切です。会話の中で「それってDVじゃないの?」と言われて初めて自分が置かれている状況がわかったという人も少なくありません。 友人には親や家族にはない新鮮な発想や体験を持っている場合が多く、それらをつなぎ合わせることで自分の考え違いや知識のなさを修正することができるかもしれません。 いずれにせよ他人に頼りきることはできませんが、自分のことをわかってくれようとする人が周りにいるということだけでもずいぶんと視界が違ってきます。

まとめ

DVは家庭という限られた環境の中で行われる暴力です。ひと昔前は、女性はこうしたDVに耐えながら生きてきました。そしてそれは隠蔽され続けてきたのです。しかし、その実態が明らかにされたことによって「あ、私もDV被害者なんだ」という意識が芽生えてきたことは、ひとつの救いです。女性はもっとDVの知識を持って、立ち向かわなければならない時代が来たといえます。