人の気持ちがわからない。それって大人のアスペルガー症候群かもしれませんよ?

「人の気持ちがわからない」と悩んでいる人は、もしかするとアスペルガー症候群かもしれません。自閉症の特性を持ちながら、知能や言葉が正常なため、気づかれないまま大人になるケースが多いのです。そして大人になって社会へ出ていくと「生きにくい」ことにたくさんぶつかります。そのひとつが「人の気持ちがわからない」ことです。

大人のアスペルガー症候群の特徴

大人になってから気がつくアスペルガー症候群

アスペルガー症候群の人は、子どものときや学生時代には「頭はいいけど、マイペースな子」「少し変わってるかも」「集団行動が苦手」「いつも一人で本を読んでいた」と思われていても、家庭や学校が守ってくれていました。さらに知的な遅れがないので、ある程度は周囲の状況に合わせて生活できていたということもあります。

そのため親や周囲から見れば「勉強もできるし、そのうち友達もできるだろう」程度で、障害を見過ごされてしまうことも多々ありました。

しかし、成長するにしたがってトラブルが大きくなってくると何となく「自分はどこか他の人とは違っているようだ」「生きづらい」と感じてきます。その結果、人とかかわることが怖くなって「うつ」や「ひきこもり」状態になってしまうケースもあります。

大人のアスペルガー症候群チェック

①会話が続かない

子どもの頃から友達との会話がうまくいかず、いつの間にか周りから孤立してしまうこともあります。会話が続かないのは、話の流れが理解できなかったり、相手の表情が読めない、人の話を聞こうとしない、自分の興味のあることが話題になると話し出したら止まらなくなってしまう。

また周りがなぜ笑っているのかが理解できなくて気まずい雰囲気になってしまったり、話したいことが整理できずに唐突な会話になってしまうこともあります。相手の顔を見てしまうと、目や口が気になって話の内容がわからなくなってしまうため、顔を見て話をするということができなくなってしまうケースもあります。

②会議の内容が理解できない・忘れる

会議の内容が理解できずに上司からいつも叱られてしまいます。定例会議に頻繁に遅刻したり、忘れたりすることもあります。

会議中では会議の議題がわからなかったり、話のメモが取れなかったり、いつもと違う人がいると気になってしかたなかったり、渡された資料が気になって話が耳に入ってこないなど注意が散漫になります。

③仕事が長続きしない

やる気はあるし、非常にまじめなのになぜか仕事が長続きしません。職場の上司や周りの同僚からは「使えないヤツ」と思われてしまいます。

本人はやる気があるのに、周りからは「やる気がない」と言われてしまいます。自分の仕事だけで、周りの仕事には全く興味を示そうとしません。また、あいさつやお礼が言えなかったり、上司にも同僚のようなタメ口で話をしてしまいます。

机のまわりが片付けられなかったり遅刻も頻繁で、こうしたことから「ルーズな人」「仕事ができない人」というレッテルを貼られてしまいます。

④次にやるべき仕事がわからない

与えられた仕事に関してはきっちりやり通し、出来栄えもきちんとしているのですが、自分の仕事が終わったら、周りがどんなに忙しくても「われ関せず」の態度をとってしまうことがあります。

自分の仕事が終わったらどうすればいいのかわからなかったり、「ちょっと手伝って」の意味がわからない場合もあります。自分で考えろ、などといわれるとますますパニックになってしまいます。

周囲と協調して仕事ができないため、怠けていないのに、いつも怒られてしまったり、何度も周りからはこの仕事に向いていないなどといわれてしまいます。

⑤同じミスを何度も繰り返す

朝早く起きようと思っていても毎朝寝坊してしまったり、同じことを何度も言われているのに、忘れてしまうことも度々あります。

職場で何度も同じミスをしてしまったり、書類が読めないと何度も書き直しをさせられたり、電話を聞きながらメモが取れなかったりします。

またそんなつもりもないのに、反抗的だといわれてしまったり、不潔っぽいと注意されることもあり、そのためいつも仲間外れになってしまいます。さらに音や光が気になって何度も仕事をやめたという経験もあります。

⑥「がんばれ」といわれても意味が分からない

子どものときから「がんばれ」といわれても、本人には通じていないことが多く、具体的にいわれないと困惑してしまうことがあります。

共同作業で自分のすることがわからなかったり、一生懸命仕事をしているつもりなのに認めてもらえなかったりします。他の人のやり方を認めることができなかったり、逆にいつも否定されているように感じてしまいます。

⑦うつ状態を繰り返す

思春期から成人期にかけて「自分はどこか人と違う」と感じることがあります。学校でクラスメートとなじめなかったり、バイトや仕事が長続きできなくて引きこもりやうつ状態を繰り返すこともあります。

何もする気が起こらない日が何日も続いたり、落ち込むと考え過ぎて眠れなくなることが多かったりします。まわりが自分の悪口ばかりいっているように感じ、バイト先でもいじめられていると思い込み、何度もバイトを変えたこともあります。

⑧なぜか人を怒らせてしまう

自分ではそのつもりがなくても、敬語を使うことが苦手だったり、感情を読み取ることが苦手なため、気が付かないうちに相手を怒らせてしまうことがあります。

相手によって言葉を使い分けられなかったり、電話の会話は苦手で、相手が怒り出してしまうこともしばしば。「余計なひと言」が多いとよく言われてしまいます。

仕事が残っていても終業時間とともに帰ってしまうし、急な誘いは必ず断ります。また嫌いなイベントは絶対に欠席します。

⑨金銭トラブルに巻き込まれやすい

人のいうことを言葉通りに受け取って信じてしまうことが多いので、学校や職場などで金銭トラブルに巻き込まれてしまうケースがあります。

お金を貸してといわれると断れず、買い物に行くと勧められるままに買ってしまいます。お金が返してもらえないことをずっと我慢していたり、友達が怒るからお金を返して欲しいといえなかったりします。

⑩異性との接し方がわからない

異性が喜ぶこと、怒ること、困ることなどが理解しにくいために自分の好みを押し付けてしまったり、度を越したマイペースから恋人ができにくい傾向にあります。

相手の顔をじっと見て「気持ち悪い」と言われたり、突然性的な話をして相手を困惑させてしまうことも。またメールではいろいろ言えるのに、会うとなぜか怒らせてしまいます。

デートでも自分の言いたいことばかり話してしまったり、気になって後をつけてしまうことも。声をかけられるとうれしくなって、複数の異性と付き合うこともあります。

「人の気持ちがわからない」はアスペルガー症候群に見られる代表的な特性

相手の感情を読み取れない

アスペルガー症候群は他人の顔の表情や声の調子、身振りや手ぶりといったコミュニケーションの手段を理解することがなかなかできないという特性があります。

たとえば、ゲームなど好きなことに夢中になっていて、何度注意されても一向にやめようとしないので大きな声で怒ったら、普通なら「うるさいな」という表情をしたり「しかたないな」と諦めたり、ふてくされながらゲームをやめたりします。ところがアスペルガー症候群の人はきょとんとした顔をして「どうしたの?」と聞き返したりします。

悪気があるわけではないのですが、人の表情や様子などから相手の感情を読み取ることが苦手なので、相手が怒っているのか、喜んでいるのか、悲しんでいるのか、困っているのかがわからないのです。

暗黙の了解を読み取れない

感情表現はコミュニケーションのひとつですが、表情や視線、声の調子、身振りや手ぶりなどコミュニケーションに関する動作を理解することも苦手です。そのため人の気持ちを無視したような行動をとってしまうこともあります。

たとえば自分の家に一緒にいるとき、次の予定が入っていて「もう帰ってもらいたい」とはっきりということができないことはよくあることです。そんな場合、遠回しに言ったりして相手に気づいてもらいます。

人は社会経験を積めば、相手の様子や言葉の使い方を見て、気持ちを察することができるようになります。ところがアスペルガー症候群の人は、コミュニケーションに関する「暗黙の了解」を読み取ることができない場合が多いのです。相手が困った表情をしても、はっきり言葉で言わない限り、困っていることすら気が付きません。

言葉の裏にある意味が読み取れない

アスペルガー症候群の人は慣用句や冗談を理解することが苦手で、会話のすれ違いからトラブルになってしまうことがあります。

職場の同僚とのコミュニケーションでは、時として軽い冗談など交わしたりするものです。ところがアスペルガー症候群の人には、冗談が通じません。それどころか冗談を真に受けて怒り出してしまうことすらあり「空気が読めないヤツ」と思われてしまいます。

言葉の裏側の意味を想像し理解することができずに誤解してしまうことがあります。しかし言葉の意味や使い方を教えれば、冗談や慣用句の入った会話を理解することはできますが、会話を楽しむところまではなかなかいかないようです。

もし自分がアスペルガー症候群かもしれないと思ったら

18歳以上の成人の場合、アスペルガー症候群や発達障害は精神科で診断してもらうことになります。最近では「アスペルガー症候群」という言葉は一般的にも知られるようになってきたため、アスペルガー症候群の情報に接する機会も多くなりました。

そのため家族や本人が「もしかして…」と思って精神科を受診する人も増えているようです。しかし、すべての精神かがアスペルガー症候群をよく理解し、対応できるところまではまだまだいっていません。

日本では比較的新しく確立された分野のうえ、大人の発達障害を診断することは非常に難しいといわれており、専門医もまだまだ少ないというのが現状です。

精神科の選び方

「アスペルガー症候群外来」や「発達障害外来」を設けているところでも、成人については対象外となっている医療機関もあります。精神科に行く前に成人のアスペルガー症候群を診断してくれるかどうか確認しておきましょう。

各都道府県に設置されている「発達障害支援センター」から紹介してもらうという方法もあります。

精神科での診察

精神科での診察は、面談を中心に行われます。

  • 現在の症状について
  • いつから症状があるのか
  • きっかけや最近起こった変化など
  • 家庭環境など
  • 対人関係や自分の性格について
  • 仕事歴や勤務状況など
  • 子どものときについて
  • 今までの病歴や服用している薬について

アスペルガー症候群にあまり詳しくない精神科を受診してしまうと、ほかの精神疾患と診断されて適切な治療が行われない可能性があります。別の医療機関でセカンド・オピニオンをとることも大切です。

アスペルガー症候群の人はどんな仕事が向いているのか

アスペルガー症候群と診断され、その特性を持っていたとしても、就職して、その職場になくてはならない戦力として働いている人も大勢います。アスペルガー症候群という特性を考慮に入れながら、どんな仕事が向いているのかじっくり考えてみましょう。

アスペルガー症候群の特性を持っている人は「できないこと」をできるようにすることが非常に困難なケースが多いそうです。それを無理やり治そうとすると、強迫性障害やうつ病になってしまう可能性もあります。ときには無理をせずに「自分には向いていない」と割り切ることも必要なことです。

一般的にアスペルガー症候群の人に向いているといわれる仕事は、コンピュータ・プログラマーやエンジニアなど専門的な知識・技術が要求される仕事。研究員や会計士、校正者など集中力や忍耐力が求められる仕事。各種デザイナー、楽器の調律師など独特の感性や優れた音感が求められる仕事です。

一方、向いていないといわれる仕事は、営業や教師など人と交渉したり一度に大勢の人に接したりする仕事。窓口業務など予想が立たずに状況に応じて柔軟に対処する必要がある仕事。接客業など複数の要求に答えたり、同時にさまざまな作業を処理しなければならない仕事です。

まとめ

人の気持ちがわからずに、ひとり悩んでいて30代になってようやく自分がアスペルガー症候群であることが判明した人は「初めて自分の特性と向き合うことができた」と今までの「生きづらさ」の理由がわかったことで、自分自身を責めずに済んだと言います。
家族やその周囲の人も同時にアスペルガー症候群の人の特性を知ることで、人間関係の摩擦を少なくできるのではないでしょうか。